終身雇用制度は崩壊!?賃金と高度経済成長の問題
終身雇用制度とは?
終身雇用制度は定年まで雇用することを保障する制度の事で、戦後日本を支えるシステムでしたが、近年は不況や少子高齢化で維持が難しくなっています。
終身雇用制度の崩壊=高度経済成長が二度と起こりそうにない
敗戦後、目覚ましい勢いで日本が再生を果たしたのは、それまで「繊維」しかなかった我が国の工業分野に「自動車」や「ハイテク」が加わり、輸出によって外貨を稼ぐことができたからでした。高度経済成長期に日本の人口も一気に増加しました。終身雇用制度の崩壊とは、高度経済成長が二度と起こりそうにない、と言っているのと同じです。
終身雇用制度の前提となっている年功序列の賃金形態も崩壊しつつある
生産年齢人口の減少に伴って、自動車は売れなくなりました。少子化が一気に進んで、日本経済とは内需が主なのですが、売れるもの・売れないものの落差がはっきりしてきたと言えます。低成長の時代は人口動態グラフと一緒にこれからも続き、終身雇用制度の前提となっている右肩上がりの年功序列給は崩壊寸前とも指摘されています。
終身雇用制度は優秀な人材を長期的に確保できるが若い人ほど賃金面が不利
終身雇用制度には「優秀な人材を長期間確保できる」というメリットはあるものの、年功序列給与では若い人ほど賃金的に不利になってしまいます。雇用崩壊とは賃金モデルの崩壊と言ったほうが正確かもしれません。しかし企業にとっても労働者にとっても長期間安定して働くことのメリットはありますから、定年制は廃れないでしょう。
賃金モデルを高度経済成長期と同レベルにするのは難しい
「経済成長とは結局、人口の増加であった」と言い換えもできます。人口が減っていく局面で、雇用崩壊させず、賃金モデルを(高度経済成長と同じレベルに)維持をするのは企業には酷です。賃金原資がありますから、終身雇用制度が崩壊しないようにすれば、今後入社してくる若い人は全員、非正規労働者にして使い捨てにせざるをえません。
終身雇用制度を崩壊させないためには最低賃金を上げるなどの対策が必要
若年層労働者の賃金を上げるためには、「最低賃金を上げると同時に、同一賃金・同一労働を導入する必要がある」と最近になって政府が提唱し始めました。しかし日本は労働組合の力がほとんどありません。ですから、終身雇用制度を崩壊させないまま同一賃金を導入するのは、ほとんど「絵に描いた餅」のように受け止められているようです。
賃金格差を埋めるための同一賃金・同一労働
たとえば同じ経理職であれば、大企業と中小零細の格差、東京と地方の平均賃金の格差、男性と女性の格差、正社員と非正規の格差など、こうした格差を埋めるのが同一賃金・同一労働です。しかし、終身雇用制度を崩壊させない限り、同一給は不可能であると言われています。終身雇用制度は低成長期には土台無理な話と言えるでしょう。
終身雇用制度が崩壊するといわれているのは様々な所で賃金に格差があるため
「定年まで働いて、ずっとヒラ社員で、年収300万円で、退職金はほとんどない」という中高年労働者が今後は増えるでしょう。終身雇用制度の崩壊と言うより、賃金崩壊と言えますね。しかし、そのくらい思い切ったカットをしない限りは、若い人はずっと低い手取りのままで中高年に突入してしまう危険もあります。終身雇用制度は、この先バラバラになっていく傾向にあるといえるでしょう。
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