出世したくない若者が増加中?昇進を拒む理由とリスク
出世したくない20代~30代は6割
株式会社クロス・マーケティングによる20歳~39歳の男女を対象とした「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」によると、出世したくない20~30代はなんと約6割もいる事が分かりました。
全体としては、
出世したくないと思っている(15.8%)
出世にはあまりこだわっていない(43.4%)
できれば出世したいと思っている(28.8%)
絶対に出世したいと思っている(12.0%)
となっています。
若者の中で出世したいと思っている人は約4割しかいないのです。しかも内訳を見てみると、出世したいと思っているのはほとんど20代が多いのです。30代になるにしたがって、出世に対する願望がだんだん薄れていくようなのです。
「昇進目標がわからない」が最多
また、先ほどの調査結果によると、出世したい人は約4割とお伝えしましたが、その中でも「部長になりたい」「社長を目指す」「役員まではいきたい」など、具体的な目標を持っている人よりも、昇進目標は特になく、「分からない、決めてない」という人が最多でした。
確実に出世を狙うなら具体的な目標があった方が叶えやすいはずですよね。とくに考えていないということは、それだけ「出世したい、昇進したい」という思いが希薄ということです。つまり、出世したいと思っていても、それほど真剣には考えていない人が多いのでしょう。
続いて、若者が仕事で昇進したくないと思ってしまう理由を見ていきましょう。理由は全部で5つあります。みんなの声も掲載していきます。自分の考えと共感できるものもあるかもしれませんね。
出世したくない理由①:給与の減少
仕事で昇進したくない理由の1つとしてまず挙げられるのは、“給料面”です。「出世したのになぜか給料が減る……」という矛盾や、重い責任に給料が見合わないと考える人が、出世したくない人には多いようです。
みんなの声
営業職/30代男性
出世をしたものの、追い打ちをかけるように社内規定が改定され、課長職以上は残業代がつかなくなりました……。給料は減るのに仕事は増えるばかりです。以前より100万円も給料がダウンしました。このままでは精神的にも肉体的にもきついので、新天地へ「転職」することを検討しています。
出世しても給与は下がるだけ
このように、出世をしても仕事量や責任は増えるのに、対価として期待したい給料は下がるだけというのを理由に、仕事で昇進したくないという人は多いようです。確かに、出世できても平社員の頃より給料が下がるとなったらメリットゼロですよね。
実際に出世してしまった人でも、耐えられなくなった結果として、転職の道を考えている人も多いようです。巷では仕事ができる人は出世するより転職した方が給料が増えると言われています。出世したくない症候群の増加は、日本企業の体制が変わらない限りは減らない気がしますね。
出世したくない理由②:闘争心の低下
仕事で昇進したくない理由の2つ目は、「周りへの闘争心」です。出世街道を進むには、周りとの協調、コミュニケーション能力や部下の管理など、人間関係の苦労はつきものです。
しかし、人間関係に関するリスクを背負ってまで出世したくないという想いも、仕事で昇進したくない若者が増えている原因のようです。
みんなの声
公務員/28歳男性
「出世をするためにはドロドロした人間関係も乗り越えないと……」という、仕方なく出来てしまった競争社会のプレッシャーから出世したくない症候群に陥ってしまいました。そもそも、出世をするためになんでもかんでも我慢するのは間違っているのではないかと思ってしまいます。近年パワハラやセクハラの問題が多発していますが、果たして心の傷を負ってまで、その場所で上を目指す意味があるのでしょうか?
人間関係のリスクを負ってまで出世したくない
この方は上記の考えに陥り、出世したくない症候群になってしまったようです。特に公務員の場合は、出世するには人脈や交友関係が重要と言われています。
民間企業のように、ノルマや目標を達成しなくてもクビになる危険性はありませんし、逆に成果を上げても上に上がれないケースが多いのでモチベーションも下がるのでしょう。
仕事に我慢は付き物ですが、近年の人はそこまでして出世をしたくないという闘争心の低下が目立ちます。しかし、先述しましたが、出世しても給料がそこまで上がらないとなるとメリットとデメリットを天秤にかけた結果、昇進しないという選択をしてしまうのも頷けますね。
出世したくない理由③:仕事への意欲低下
仕事で昇進したくない理由3つ目は、「仕事への意欲」にあります。特に、出世をすると自分の時間が減ることが一番のネックのようです。自分の時間を割いてまで仕事をするような情熱はないということでしょう。
「プライベートも楽しみたい」「休日出勤なんてありえない」「定時で帰りたい」と思っている方は、近年では増えています。ワークライフバランスを充実させたい人が増えているのも、「出世したくない症候群」増加の原因になっているのでしょう。
みんなの声
事務職/24歳女性
出世に対して、「興味がない」「どうでも良い」人は沢山います。出来たら良いけど、積極的なアピールはしない、「なんとなく」の気持ちで考えています。何か他に優先順位の高いことがあっても、出世によって妨害される場合があるのではないかと思ってしまいます。例えば、趣味や家族。そんなプライベートの時間が減るのは避けたいし、できれば定時には帰りたいです。
プライベート中心で人生設計を立てている
このように、仕事で昇進したくないと考える人は仕事を中心に人生設計を立てるというよりは、趣味などのプライベートの時間を中心に人生設計を立てているようです。出世=会社に縛られるという想いが強いのではないでしょうか。
確かに、出世したら仕事量と責任が増えて、残業時間が増えるのは免れられません。そのため、自分の時間が少なくなります。特に結婚して子育てなどをしている人は、できれば子どもといる時間を増やしたいもの。出世願望は必然的に薄くなりますね。
出世したくない理由④:責任の増加
仕事で昇進したくない理由4つ目は、「責任の大きさ」です。仕事で昇進して出世すれば、なんらかの役職につくことになるので、それだけ平社員より責任量が大きくなります。勿論、自分の仕事だけでなく部下の管理までしなくてはいけないのです。
出世を拒む人の中には、「自分にそこまでの責任を抱えられる力はない」「そこまでの責任を抱えたくない」などと考える人も多いようです。そうなると、勿論「出世はしたくない」に行きつきますよね。
みんなの声
製造業/27歳男性
役職につけば多くの部下を動かさねばならず、自分にそれだけの技量があるのかと問われると、自信はありません。さらに、出世すれば、部下の面倒以外にも様々な面倒くさい仕事がついてきます。今、自分の上司を見ていると、あまりにも大変そうでつい「ああは、なりたくないな」と思ってしまいました。上司のことは応援していますが、少しでも力の及ばないことがあれば全ての責任が上司に降りかかり責められます。それを傍で見ている部下としては、とてもじゃありませんが自分には無理だし、そんな大きな責任持ちたくないというのが本音です。
責任増やしてまで仕事に人生をかけたくないから
先述したように、責任が増えた上にそれに見合う対価としての給料UPがないとなれば、出世損と感じてしまいますよね。そんな上司の姿を見ていればなおさらです。
また、大きな責任を負ってまで仕事に人生かけたくない、という意見も多いようです。出世すれば、部下の面倒も見なければなりませんし、責任の大きさで見れば逃げたくなる気持ちも分かりますね。
出世したくない理由⑤:現場主義
仕事で昇進したくない理由5つ目は、「仕事内容」にあるようです。昇進して管理職にでもなれば、現場で実務の仕事に携わるのは難しいでしょう。
現場の仕事が楽しくて仕方ないという人は、現場から離れたくないという意味で昇進したくないと考える人も多いようです。
みんなの声
営業/26歳女性
勿論、出世には興味がないわけではありません。しかし、私は現場での仕事が楽しくできればもっと続けていたい気持ちが強いです。どの職業でも「営業が好きだから」「ものづくりをしたい」と思って昇進の打診を断り現場にい続ける人は多い気がします。それも仕事が大好きな人はなおさらだと思います。それが管理職になれば、どうしても書類と格闘する毎日をイメージしてしまいます。折角、毎日仕事が楽しいのに、それを手放したら仕事する意味がないっていうか……。
管理職に魅力を感じない!実務の方が楽しい
このように仕事に楽しさを見出している人こそ、現場の仕事が楽しいので「現場から離れたくない、出世したくない」という人が多いのかもしれませんね。
管理職になれば書類とにらめっこする仕事も勿論あるでしょう。実務の仕事に携われなくなる可能性は高いです。このように、現場での仕事に満足している人は、出世することで仕事が楽しくなくなるのではないかという不安もあるようですね。
出世しなかった場合の恐ろしいリスクとは?
現在、20代~30代の若者たちは仕事で昇進する願望があまりない事実が分かりましたね。紹介してきたように、出世を拒むのには「給料の減少・闘争心の低下・仕事への意欲低下・責任の増加・現場主義」など理由がたくさんあります。
ただ、将来のことはきちんと考えていますか?このまま、今と同じ条件でずっと働き続けていたいと思っても、そうはいかないかもしれません。今はまだ若いので大丈夫ですが、これから年を重ねて40代、50代となった時に後悔しても遅いのです。ここで、仕事で昇進しなかった場合のリスクについて見ていきましょう。
リスク①:リストラ対象にされるかも
仕事で昇進しないままでいた場合の1つ目のリスクとしては、中高年になった時に「リストラ対象にされるかも」しれない点があります。中高年で平社員ともなれば、上司が年下という可能性も出てきます。そうなれば、年下上司としても扱いづらいはずです。
また、いつまでも平社員でいる中高年は仕事ができないと思われる可能性もあるのです。会社としてもリストラするとしたら戦力外の社員から切りたいので、真っ先にリストラ対象にされる危険性が高まります。
リスク②:体力的に厳しくなるかも
仕事で昇進しないままでいた場合の2つ目のリスクは、「体力的に厳しくなるかも」しれない点です。こちらも若いうちは現場での仕事も問題なくできるかもしれませんが、40代、50代になってくれば若い時と同じように動くのはキツイ話です。
そうなると現場ではだんだん使えない人材になってしまいます。本人としても仕事ができなくなってくるのは精神的に応えてくるはずです。そうなれば、体力的に厳しくなるのは避けられません。
リスク③:会社に居場所がなくなるかも
出世しなかった場合、会社に居場所がなくなる可能性もあります。20代~30代の若いうちは肩書のない、平社員でも問題はないかもしれませんが、40代50代で平社員のままだと、リストラがなくても周囲の目が厳しくなる可能性があるのです。かなりの人格者でなければ、周囲から慕われることはまずないでしょう。
さらに40代50代は年収に大きな差が出てくる時期です。出世意欲のない自分は平社員の年収のままで、同級生や会社の後輩が出世して自分よりもはるかにいい年収を得ていると知ったとき、どう思うでしょうか。
会社に居場所がないと気づいて転職活動をはじめたとしても、優れたスキルや実績がなければ、より条件の良い会社への転職は難しくなります。
出世したい人の現状とは?
若者の中には出世したいと考えている人も当然います。出世に対して、どのような意識を持っているのでしょうか?出世したい人の現状について調べました。
女性よりも男性の方が出世意欲が高い傾向に
女性よりも男性の方が出世意欲が高い傾向があります。
株式会社クロス・マーケティングが実施した「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」によると、20代男性で「絶対に出世したいと思っている」と回答したのは22.4%であるのに対し、20代女性で「絶対に出世したいと思っている」と回答したいのはたったの6.0%という結果が出ています。
30代男性で「絶対に出世したいと思っている」と回答した人は11.6%となり、20代男性と比較すると減少しています。30代女性で「絶対に出世したいと思っている」と回答する人は8.0%と、20代女性と比較すると増加していますが、30代男性の割合には及びません。
女性の場合、仕事と家庭の両立は大変な努力が必要であり、結婚や出産・育児をしつつ、男性並みに仕事をして出世するのは難しいのが現状です。そのため、出世意欲は男性よりも低いという結果が出ていると考えられます。
どこまで出世したいかまでは考えていない人も少なくない
また、出世したい考えている人はいますが、どの地位まで出世したいかまでは具体的に考えていない人も少なくありません。
株式会社クロス・マーケティングが実施した「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」によると、どの役職に出世したいかという問いに対し、「わからない・決めていない」と回答したのは28.0%でした。どの回答よりも割合が高く、出世はしたいけれど、明確な目標は定まっていないという人も少なくないようです。
また、主任から部長までの地位に出世したい人は、合計で約44%となっており、それ以上の地位につきたいと回答した人の割合を上回っています。
出世するメリットは?
これまで挙げてきた出世したくない理由から考えると、出世にはメリットがないように思えますよね。しかし、出世にもメリットはあります。出世するメリットについて説明しましょう。
役職につくと大幅に給与アップ
出世しても給与が下がるため、出世したくない若者が増えていると紹介しましたが、出世して役職についた場合は大幅に給与がアップする可能性があります。役職につくと、役職手当や役員報酬が給与に加算されるため、一気に給与が上がることがあるのです。
実際、役職に就くと給与が大幅に増えるのが一般的と言われています。
組織を動かせる
出世すると、組織を自分の裁量で動かせるようになります。仕事量は増えるかもしれませんが、平社員ではできない仕事にやりがいを感じる人も多くいます。出世を目指す人の中には、嫌いな上司にいいように使われたくないから出世したいという人も……。
仕事が好き、組織を動かしてみたいと考える人は、出世を目指してみるといいでしょう。出世することでキャリア形成に繋がるため、転職時にも役立つこと間違いなしです。
社会的地位が上がることで信用を得やすくなる
出世して係長や課長、部長などの肩書がついた場合、社会的な地位が上がるために人からの信用を得やすくなります。高額な買い物をするためにローンを組む場合には、肩書や役職を書くだけで信頼度が変わると言われています。
会社内での地位が上がれば、当然リストラの対象にもなりにくくなります。突然の解雇に怯えたくない人は、出世して社内での地位を上げるべきでしょう。
「出世したくない症候群」に要注意!
出世したくない人を意味する「出世したくない症候群」という言葉を知っているでしょうか。自分や周りが出世したくない症候群にかかっていないか、一度チェックしてみましょう。
出世したくない症候群チェックリスト
出世したくない症候群のチェックリストは以下の通りです。一つでも当てはまると、出世したくない症候群の可能性があります。
出世したくない症候群
- 上司や部下とコミュニケーションをとっていない
- 部下の教育や仕事の管理がおざなりになっている
- 仕事よりもプライベートの方が大事
- 努力は報われないと思って諦めている
- 今の仕事は誰にでもできると思ってしまう
- 仕事は生活を維持するためにするもの
- (現在勤めている会社に対し)これといった志望理由はなかった
- 残業はしたくないけどお金が欲しい
出世したくない症候群が増え続けた場合、出世を目指す人は減り続け、結果的に会社組織が成り立たなくなってしまう恐れも。出世したいと考える人を増やすためには、出世のデメリットを減らしたり、プライベートを重視する働き方を推奨するしかないかもしれませんね。
背景には仕事を第一に考えない人の増加
出世したくない症候群が増加している背景には、昔とは違って仕事を第一に考えない人が急増していることが挙げられます。仕事よりも家族や趣味、プライベートを優先する人が増え、仕事といかにバランスをとって働くかを重視する風潮が強まっているのです。
出世したくない理由はデメリットが多いから!昇進しないリスクも知っておくべき
仕事で昇進したくない若者は現在は6割ともなり、増加傾向にあります。その理由としては、①給与の減少②闘争心の低下③仕事への意欲低下④責任の増加⑤現場主義、以上の5つの理由がありました。
このように、出世しても多くのデメリットがあるために仕事での昇進を断る人が多いようです。ただ、昇進しないままでいた場合は、40代50代になった時に「リストラ対象にされる」「体力的に厳しくなる」「会社に居場所がなくなる」というリスクも孕んでいる事は忘れないようにしましょう。
ディスカッション
コメント一覧
だから無理やり出世しろと?
ふざけんな‼︎貴様悪魔か