警察庁と警視庁で異なる参事官の役割
「参事官」という官職は警視庁と警察庁で役割が異なる
そもそも参事官とは警察機構内において、どの組織に置かれている官職なのでしょう。答えは「警視庁」に置かれている官職です。また、警察庁にも置かれており、それぞれの組織において役割や組織内での立場が異なります。そのため、それぞれの組織において、参事官という官職がどんな仕事内容に従事するのかについて詳しく見ていくこととしましょう。
参事官になるには「警視正」という階級である必要がある
警察機構においては、官職のほか警視総監や警視長、警部などの階級も定められています。この階級と官職は密接な関係があり、官職に就くにはある程度の階級がなければいけません。そして、参事官に就くには「警視正」である必要が求められます。この警視正とは警視の上の階級で、警視長よりも下の階級です。そして、この警視正に就くには少なくともキャリア組で30代中盤、ノンキャリア組で50歳以上の年齢が必要になっています。
警察庁での参事官:官房長の指揮の下で職務に従事する官房参事官となる
警察庁は日本国内の警察機構のトップに位置付けされる組織で、公安委員会が設置する特別機関のことを言います。この警察庁内では参事官は長官官房内に置かれており、官房長の指揮の下で職務に従事する官房参事官となっています。そのため、決して官房内の官房審議官の補佐的な役割ではなく、特定事項の企画立案などを行う立場にあります。
官房参事官は犯罪解決の指揮系統の仕事を行う
それでは警察庁内で働く官房参事官の職務内容について見ていきましょう。この職務内容には例えば、拉致問題解決に向けて企画立案をしたり、テロ事件が発生した際には地方警察本部と警察庁をつなぐパイプになる役割があります。そのため、犯行現場に赴き事件を解決するようなことはなく、犯罪解決の指揮系統として職務に従事することになっています。
警視庁での参事官:総務部や刑事部などの副部長
一方で東京都ならびに首都機能における警察機能を果たす警視庁内での「参事官」の立場はどうなっているのでしょう。これは総務部や刑事部などといった各部におけるナンバー2、つまり副部長に当たる立場になっています。そのため、よく聞く警視庁刑事部捜査一課や捜査二課と言った複数の課を統括する立場にあるのです。また、階級的に言うと警視正ですが、警視正の中でも立場上強く位置付けされます。
警視庁参事官は省庁の企画立案や警察活動の指揮を仕事とする
警視庁内で働く参事官の職務内容は大きく2つあります。1つ目が国の省庁の企画立案等に参画することで、もう1つが各部内において警察活動を指揮することにあります。特に、警視庁は治安維持における重要な役割を持っているため、警察機構においても幅広い指揮権限を持っています。そのため、他の警視正よりも指揮系統が広いことから、署長クラスや課長クラスを経た人だけがなれる職種になっています。
警察庁の参事官は犯罪解決の指揮系統を行い警視庁では省庁の企画立案などを行う
日本の警察機構においては、参事官は警察庁に勤める「官房参事官」と、警視庁に勤める「警視庁参事官」とに分類できます。それぞれの職務内容こそ違うものの、階級は警視正であり、そのポスト自体は多いものではありません。そのため、将来的に参事官までのぼりつめたいと思っている方は、相当な責務を果たし、業務を果たしていかなければならないのです。
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