【誰が負担する?】派遣社員による損害への賠償責任に関する決まり
業務上のミスと賠償責任
業務上のミスによって損害が生じた場合、その損害に対して賠償責任が発生します。
会社の業務指示に基づいて適切な業務進行が行われている中で発生した損害に関しては、過失の程度によって賠償責任の範囲が異なります。指示にしたがって働いていたのに損害が生じた場合は業務指示に問題があるとされ、社員の賠償責任は問われません。
指揮命令下で発生した賠償は会社の責任になる
労働者は会社の指揮命令下にあり勝手な判断で業務を遂行することはできませんから、労働者の取った行動は全て会社の指示に従って行われたものととらえられます。
そのため、業務上発生した損害に関しては会社が一義的な責任を負うことになります。顧客に損失を与えてしまった場合はまずは会社が損害賠償を支払い、その上であらためて社員に対して賠償を請求することになります。
ただし、社員の労働行為に関しては法律によって保護されているため、厳しい要件を満たさない限り賠償責任が認められるのは困難です。
派遣社員のミスは派遣会社に賠償責任が発生する
派遣社員が業務中に重大なミスによって損害が生じた場合、その損害に対する賠償責任が発生します。
ただし、派遣先の会社と契約を結んでいるのは派遣社員ではなく派遣元となる人材派遣会社です。人材派遣会社は特定の業務の遂行を目的とした契約を結んで人材を派遣しているのですから、派遣先の会社はまず派遣元企業に損害賠償を請求することになります。
派遣社員も損害賠償請求を起こされる可能性がある
派遣先の損害は派遣会社が賠償するのが契約上のルールですが、だからといって派遣社員に責任が発生しないわけではありません。
派遣社員は派遣会社との間で結んだ業務遂行契約を履行できなかったわけですから、派遣会社から派遣社員に対して損害賠償請求が起こされる可能性があります。
派遣社員の賠償責任は過失割合によって決まる
派遣社員にも賠償責任は発生しますが、発生した損害のすべてを賠償する必要はまずありません。
業務中に生じた損害に関しては、支持者である会社の責任が必ず含まれています。わざと損害を生じさせたり、通常ではありえないような過失で生じた損害でない限り、直接の原因である派遣社員に全額を賠償する必要はありません。
賠償責任は、派遣社員の過失程度によって決まります。どんなに頑張っても防げなかった損害であれば、賠償責任がゼロになることもあります。
賠償責任保険によって守られている
人材派遣会社には、派遣社員が派遣先で発生させた損害に対する賠償責任があります。
派遣社員のミスが莫大な賠償金を発生させるというリスクを抱えていますから、リスクを回避するために賠償責任保険という保険に加入しています。
業務上の事故やミスによる損害だけでなく、派遣社員が横領事件を起こしたり業務中に第三者にけがを負わせた際などに発生する損害賠償もカバーする保険です。
派遣社員の損害は基本的に派遣元に賠償責任がある
派遣社員であっても生じさせた損害に対しては賠償責任がありますが、派遣先企業は派遣社員本人ではなく派遣元に賠償請求するのがルールです。
賠償責任を問われそうになった時は、業務指示であったことを証明できる処理などを確保しておきましょう。会社の指揮命令下にあったことが証明できれば、過失相殺で賠償を減額あるいはゼロにできる可能性があります。
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