会社が遅刻・欠勤した労働者に課す罰金の違法性
会社が労働者に対して罰金を課している事実
会社によっては遅刻や欠勤、仕事のミスにおいて罰金制度があるようですが、この罰金制度がいまいちピンとこない人もいると思います。
例えばどんな罰金制度があるのかを確認した上で、違法か合法かを見ていきましょう。
罰金制度の例①:3回遅刻したら1日分減給の罰金
「3回遅刻したら1日分減給」や「遅刻したら半日ただ働き」などのようなルールを採用している会社があるようです。
この会社の場合、実際に働かなかった時間以上に収入が減るというケースも考えられます。
罰金制度の例②:書類の記入漏れや事務処理のミスなどで罰金
書類への記入漏れや事務処理のミスなどがあると「ペナルティー」として、給料から「罰金」が天引きされるといった会社もありました。
もちろん誰もがミスのないように仕事をしていますが、それでも人間ですからミスしてしまうものです。何かあると罰金とされると仕事をするのも怖くなってしまいます。
遅刻・欠勤・ミスへの罰金制度は合法か違法か
遅刻や欠勤、ミスに対して罰金を課す会社は多いようようです。
しかし、それは労働基準法に触れないのでしょうか。遅刻・欠勤・ミスへの罰金制度が合法か違法か、気になるところです。
「賃金控除」という形での働かなかった時間分の減給は合法
あらかじめ就業規則に罰金について明記してあれば、「賃金控除」という形で働かなかった時間分の賃金を減給することは合法です。
ただし、労働基準法や社会通念において妥当性が認められなければ無効になります。企業だけに都合の良いルールは当然認められない可能性が高いです。
働かなかった時間以上の罰金も就業規則での定めが必要
実際に働かなかった分を超えて罰金を課す場合も、就業規則による定めが必要です。これは必須条件ですから、就業規則上の根拠もなしに罰金を強要すれば労働基準法違反となります。
自分の会社に罰金として減給が行われているなら、必ず就業規則を確認しておきましょう。
遅刻・欠勤・ミスによる罰金の金額には上限がある
仮に罰金が就業規則に明記されている場合でも、会社側は労働者に対して好き勝手に罰金金額を定めていいわけではないようです。
そこのはきちんと上限が存在します。
遅刻や欠勤、ミスは当然良くはありませんが、労働者が大きな損失を被るような罰金制度は避けなければなりません。
減給の場合の限度額は労働基準法第91条で定められている
労働基準法第91条で減給の場合の限度額が定められています。つまり、この範囲内の罰金であれば合法となるわけです。
労働基準法第91条の規定
●1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えない
●総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えない
減給となっても上記の制限は守られます。
つまり、遅刻した場合でも1日の賃金の半分まで、1ヶ月の賃金が30万円の人なら月の総額で3万円までの罰金なら就業規則の定めさえあれば合法と判断されます。
会社に遅刻・欠勤して科せられる罰金は就業規則に記載があれば違法性はない
会社によっては遅刻や欠勤、ミス等で罰金制度を設けているところがあります。これは、就業規則に記載してあれば違法にはあたりませんが、労働基準法で上限金額が決められているため、その範囲内でなければなりません。
就職や転職の際には、就業規則の確認を必ずしてください。もし必要以上に罰金を取られるようであれば、きちんと対策を練る必要がありそうです。
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