当選御礼!公職選挙法に基づいた選挙当選のお礼の挨拶文
当選御礼は大丈夫?公職選挙法の「あいさつ行為」に対する制限
当選御礼だけではなく、選挙の当選・落選の結果に限らず、選挙終了後は支持や応援してくれた方々に対し、感謝の気持ち・お礼の挨拶文を伝えるべきでしょう。しかし、公職選挙法では、これらの挨拶行為に制限が加えられています。まずは公職選挙法における選挙後の禁止事項についてしっかりと理解しておくべきでしょう。
公職選挙法の内容①:選挙後「当落」に限らず禁止されている事項
次のものは、選挙後、禁止されていますのでご注意ください。
■選挙人に対して、戸別訪問をする
■文書図面を頒布・掲示する
■新聞紙・雑誌を利用(広告)する
■放送設備を利用して放送する
■当選祝賀会やその他集会の開催
■自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来したり「気勢を張る行為」を行う
■当選したお礼として、当選人の氏名、政党・政治団体の名称を言い歩く
当選御礼をしたい場合は、これらに気をつけましょう。
公職選挙法の内容②:選挙後「当落」に限らず行ってもよい事項
選挙後の当選・落選に関わらず、次のものはさしつかえありません。
■自筆による信書
(不特定多数の人に宛てた文書は禁止されます)
■選挙人からの当選の祝辞、落選の見舞などの答礼のための信書
(印刷でも自筆でもさしつかえありません)
■インターネット等を利用する方法によるあいさつ行為
(自身のホームページ等において当選又は落選に関するあいさつを記載する事や、電子メールを利用して当選又は落選に関する挨拶をする事)
当選御礼の場合は、この範囲内で行いましょう。
公職選挙法の内容③:選挙後の挨拶・お礼は無しの取決め
当選祝いをいただいた時にはやはり、当選御礼がしたいものだと思います。ところがお礼の挨拶も難しいところで、公職選挙法について考えなくてはいけないのです。
実は、当選したからといって口頭で多くの人に対してお礼を述べるということさえ出来ないように、公職選挙法で決まっているのです。
よく選挙前は挨拶があったのに、当選すると横柄なものだと思っている方がいるようですが、こういった公職選挙法の取り決めがあるからなのです。選挙者本人としてはお礼の挨拶を述べたいのに、それは出来ないと決まっているのです。
したがって、お礼を求めることはしないほうがいいですし、当選人も何かの返礼をすることは出来ません。一般的なマナーとは異なったルールが公職選挙法には有りますので、理解した上で応援しているのが理想的ですね。
選挙当選のお礼の挨拶文「信書」について
選挙が終わった後の不特定多数の人に対してお礼の挨拶文を送る行為自体は禁止されていますが、”自筆による”特定の人へのお礼の挨拶文は差し支えないようです。ちなみに、このお礼の挨拶文の事を法的な用語で信書と言います。信書の定義とはどのようなものか、今一度確認してみましょう。
信書とは「特定の人に事実を伝える文書」
信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されています。
■「特定の受取人」とは、差出人がその意思又は事実の通知を受ける者として特に定めた者を指します。
■「意思を表示し、又は事実を通知する」とは、差出人の考えや思いを表現し、又は現実に起こりもしくは存在する事柄等の事実を伝える事です。
■「文書」とは、文字・記号・符号等人の知覚によって認識することができる、情報が記載された紙その他の有体物を指します(電磁的記録物を送付しても信書の送達には該当しません)。
当選御礼、お礼の挨拶文を考える際には大まかに理解しておきましょう。
以下に信書に該当するものを挙げています
■書状
■請求書の類【類例】納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書、レセプト(診療報酬明細書等)、推薦書、注文書、年金に関する通知書・申告書、確定申告書、給与支払報告書
■会議招集通知の類
【類例】業務を報告する文書、結婚式等の招待状
■許可書の類
【類例】免許証、認定書、表彰状
※カード形状の資格認定書なども含みます。
■証明書の類
【類例】印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し、健康保険証、登記簿謄本、車検証、履歴書、給与支払明細書、産業廃棄、物管理票、保険証券、振込証明書、輸出証明書、健康診断結果通知書・消防設備点検表・調査報告書・検査成績票・商品の品質証明書その他の点検・調査・検査などの結果を通知する文書
■ダイレクトメール
受取人が記載されている文書
契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言、商品の購入等利用関係が記載されている文章
当選御礼、お礼の挨拶文を考える際には大まかに理解しておきましょう。
信書としてのお礼の挨拶文を書くときの例文
選挙後のお礼の挨拶文を書くときの例文をまとめてみました。選挙後のお礼の挨拶文を送る際は、公職選挙法を理解し、ご自身の責任・自筆で行わなくてはなりません。
それらを理解した上で、以下に挙げるお礼の挨拶文の例文を参考にしてみましょう。
選挙後のお礼の挨拶文【例文①】
株式会社△△△
代表取締役社長 ○○○様
(拝啓/謹啓) ΟΟの候、(貴社ますますご隆昌/○○様におかれましてはご健勝)のこととお慶び申し上げます。
さて、私ことこの度の(ΟО議会議員/ΟО長)選挙おいて(初当選/再選)の栄えを浴することができましたのも、これもひとえに(皆様方/貴社/○○様)の温かいご支援の賜物と、(厚く/心より/深く)(感謝/お礼)(申し上げる/いたしており)ます。
(この/かかる)うえは、甚だ微力ではありますが、ΟОの発展に(粉骨砕身/一意専心)の覚悟でありますので、今後とも、ご(支援/指導/協力)を賜りますようお願い申し上げます。
まずは、略儀ではありますが、書中をもって(初当選/再選)のお礼かたがたご挨拶を申し上げます。
(敬具/敬白)
平成Ο年Ο月Ο日
□□□(議会議員/長)
×××
選挙後のお礼の挨拶文【例文②】
このたびの選挙戦におきまして、皆さまから絶大なご支援をいただき、激戦であったにもかかわらず、当選の栄を得ましたことは、喜びこれにすぎるものはありません。
現在の私の心境は、感謝と感激でいっぱいでして、この一戦にかけて日夜努力してまいりました苦労もけしとび、この上は、公約を守り、皆さまの信頼に答えるべく、ただ実践あるのみと、決意を新たにしている次第であります。
短かい選挙期間ではありましたが、私といたしましては、まわるべきところはまわり、主張すべきことは言いつくし、文字どおり人事をつくして天命を 待つ、といった具合でした。先日の運動員の方々の献身的な努力には、ただ頭のさがる思いでございます。皆さんどうもご苦労さまでした。
不肖、私のために清き一票を投じていただいた皆さま方の期待にむくいるために、よき皆さまの代弁者となり、ひいては、私の理想を実現するために、身命を賭してやりぬく覚悟であります。
なにとぞ、今後とも私の一挙二投足にご指導をたまわりますようお願い申しあげます。簡単ではございますが、心から感謝の意を表して、お礼のごあいさつといたします。
落選の挨拶文【例文③】
拝啓 新緑の候 ◯◯様におかれましてはお健やかにお過ごしの事とお慶び申し上げます。
このたびは過分なお心遣いをいただきましてありがとうございました。ご厚志誠に有難く、心より御礼申し上げます。
今後も変わらぬご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます。 略儀ながら取り急ぎ書中にてお礼申し上げます。 ありがとうございました。
敬具
当選御礼は公職選挙法の制限あり!選挙後のお礼の挨拶文はルールを守って行なおう
選挙当選した場合のお礼の挨拶文と公職選挙法の関係について見てきましたがいかがでしたでしょうか。
選挙終了後、当選御礼・落選の挨拶状を書く際は、例文を参考にしましょう。また、選挙後の挨拶は公職選挙法を理解した上、信書で特定の人にのみ送るようにすべきです。選挙当選しても厳しく規則が敷かれているので、こういった禁止事項はしっかりと理解してから行動に起こさなくてはならないことを、しっかりと心に留めておきましょう。
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