ミュージシャンだけじゃない!音楽を仕事にする方法と職種
1.大好きな音楽を仕事にする前に
「音楽が大好き!」「音楽を仕事にしたい!」と考える方は、とてもたくさんいると思います。有名になりたい、子供の頃から憧れているミュージシャンと一緒に仕事がしたい、その動機は様々でしょう。
しかし、大好きな音楽を仕事にしようとする前に、知っておくべき現実はたくさんあるのです。単純な憧れや興味だけで踏み出してしまうと、好きだったはずの音楽が辛いものになってしまうかもしれませんよ。
ミュージシャン以外にも音楽の仕事は様々
多くの人が音楽の仕事としてイメージするのはバンド、歌手といったミュージシャンとしての活動でしょう。学生時代からライブ活動を重ねるなど、“メジャーデビュー”といった形で音楽を仕事にしようと考えている人は多いものです。
そんな、ミュージシャン以外にも音楽に携わる仕事は、実に様々なものがあります。音楽に関連する専門学校も日本にはたくさん存在しますし、学部や学科も事細かにわかれており、それだけ色々な職種があるのです。
そもそも”どのように音楽と関わりたいのか?”を明確にしよう
そういったことも踏まえ、音楽の仕事を志す際に一番大切なポイントがあります。それが「どのように音楽と携わりたいか」の部分を明確にしておく点です。
音楽を聴くのが好き、演奏するのが好き、ライブが好き、機材に興味があるなど、一言で音楽が好きといってもその情熱の対象は実に様々。自分が音楽をどのような形で仕事にしたいのかによって、取るべき行動も大きく異なります。
まずは、音楽の仕事にどんな職種があって、どういった職務内容なのかを知っておきましょう。
2.ミュージシャンとして音楽を仕事にするには
最初に、多くの方が興味のある“ミュージシャン”として音楽を仕事にする方法を紹介します。一見、華やかにみえるミュージシャンの世界ですが、想像以上に厳しい現実があるのです。
①メジャーシーンでの成功は”運”の要素もかなり強い
ミュージシャンを志す際には、誰もが「メジャーデビューしてCDを出して、大きな会場でライブをやりたい」と考えるでしょう。ただ、一般的な認識通りそのような成功例は“ごく稀”なのです。
「事務所にスカウトされてデビュー」といった話を聞いたことがあるとは思います。ライブハウスで地道に活動を続け、資料や音源をそういった会社に送る、オーディションを受ける、といった形でミュージシャンになった方ももちろんいます。しかし、現実的に考えると可能性はかなり低い方法です。
不況が叫ばれている音楽業界。事務所側も新人のバンド、シンガーを1から育てて売り物にしようとは思っていません。昔であれば、“ダイヤの原石を磨き上げてスターにする”面倒見の良い会社も多かったのですが、現在はそんな余力も資金もないのが現状。そのような中で、目をつけられるには“運”の要素に頼るしかない部分もあります。
また、どんなミュージシャンが流行るのか?も時代によって全く違いますよね。今流行しているジャンルのバンドやシンガーとしてデビューを目指すのは、絶対数も多いので競争も激しいですが、「あまりメジャーではないけれど、好きなジャンルのバンドを組んだら、たまたま時代の流れがきて、事務所の目につきデビューできた」という可能性だってあるのです。
音楽業界の先行きを読むのは難しいので、これらはある種“運”に任せるしかないといえるでしょう。
②バンドや歌手など形態は様々
またミュージシャンにも様々なタイプが存在し、給料形態もそれにより異なります。バンド、歌手、シンガーソングライター、といったTVで活躍している“有名人”のような方々もいれば、レコーディング作業が仕事の“スタジオミュージシャン”と呼ばれる人もいるのです。
自分がミュージシャンを志すにあたって、どのフィールドに立ちたいか次第で売り込み方や活動も変わってくる点を知っておきましょう。
③ネットを活用しよう!時代に沿った活動が大切
昔のミュージシャンは、どんどんと実戦(ライブハウスや路上ライブ)を重ねていくしかPR活動ができませんでした。しかし、現代にはインターネットという便利なツールがあるため、家にいながらしてのPRも可能です。
ライブ活動を頻繁に行っても、見てくれるお客さんがいなければPRになりません。ライブハウスでの活動では“ノルマ”と呼ばれる最低動員保証を達成しなければ、なりません。例えば、一枚1,500円のチケット料金のイベントに参加が決まったとします。ノルマが20枚で自分がお客さんを5人しか呼べなかったとしましょう。そうすると、差額の15人分である22,500円をミュージシャン自らが支払わなくてはならないのです。この、ノルマ制度に多くのミュージシャンが苦しめられ、自らの金銭状況を圧迫してしまっています。
ライブ活動で給料を得るどころか、自分の財布からお金を支払わなくてはならないとなると本末転倒です。22,500円分のPR活動ができれば、支払う価値はあるかもしれませんが、自分のお客さんが呼べない状況ではその効果も薄いはずです。
そこで有効的に使いたいのがインターネット。例えば、自分の曲をYoutubeやニコニコ静画といった動画サイトで配信する、twitterやFacebookなどのSNSで宣伝も兼ねた広報活動を行う。これらにかかる費用は、実質無料です。それに加えて、ライブハウスなどの限られた環境ではなく“ネットをみている不特定多数の人物”に向けてPRをおこなえるのです。
お客さん目線で考えてみても、この方法は理にかなっています。「今度ライブやるから友達呼んで来てよ」と言うよりも「Youtubeに曲があるから友達と一緒に見てみてよ」と誘ったほうが、圧倒的に後者の方がハードルは低く協力してくれる可能性が高いとは思いでしょう。
インターネットで音楽が無料で聞ける時代です。時代に合わせた活動方法を、自分なりに探してみてください。そういった活動の中で、“どのようにして話題を作るのか?”が勝負の分かれ目だといえるでしょう。
④「仕事=生活を成り立たせる」ならばメジャーデビューの道以外にも
音楽を演奏するミュージシャンとしての仕事は、メジャーデビューをしなくても実現可能です。先ほど紹介した、スタジオミュージシャンやサポートミュージシャンという優れた技術を持つ楽器演奏者は、音楽を演奏することで生計を成り立たせているミュージシャンです。仕事に規模によって報酬は異なりますが、やった分だけ報酬がもらえる出来高制のパターンが多く“1曲数千円〜数万円”のような形になります。
毎月固定で給料が貰えるわけではないので、“フリーランス”の仕事だといえますね。フリーランスとしての活動はミュージシャンに限らず“横のつながり”が大切です。仕事が回っているグループ(仲間内)というのは、どの業界にも必ず存在します。そのグループに上手く入り込めば、うまい具合に仕事をもらえるかもしれません。どんな仕事であっても、人間関係が大切だといういい例ですね。
⑤ミュージシャン(演奏者)としての職種一例
・バンド
・シンガー(シンガーソングライター)
・スタジオミュージシャンやライブサポート
・特殊な飲食店での演奏者
など
3.制作に携わる音楽の仕事をするには
音楽の仕事としては、演奏者(ミュージシャン)の他に作曲家なども有名ですよね。最近では、昔よりも作曲家の仕事に光が当たる時代になってきているのも事実。
ここでは、音楽の制作に携わる仕事について見ていきましょう。
①作詞・作曲・編曲といった分担がある
音楽制作には、大きく分けて「作詞・作曲・編曲」の3つがあります。もちろん、すべてを一人でおこなっている方もいますが基本的には分業と考えても良いでしょう。
作詞は、文字通り楽曲のメロディーに合わせて詞を作る仕事。コピーライターの方なども、作詞の仕事を引き受けたりしますので音楽の仕事でもあって、文筆家としての仕事ともいえるのです。
作曲と編曲に関しては、混同している方が多いですが「作曲=メロディー(主旋律)を作る」「編曲=メロディー(主旋律)以外を作る」といった認識になります。わかりやすい例にすると、カラオケで歌う部分を作るのが作曲、伴奏として流れる部分を作るのが編曲ということですね。
作曲に求められるのは、なんといってもメロディーのセンス。曲の核となる部分ですから「覚えやすい、キャッチー、親しみが湧く」といった要素が求められます。
一方で編曲は「音楽に対する知識、様々なジャンルへの造詣の深さ」など、理論的な部分が大きく求められます。一つのメロディーのから、イメージ合わせて、アプローチを変化させながら曲を完成させなくてはならないので、圧倒的な理論とセンスが必要です。「ジャズ風に、ロック風に」と同じメロディーでも、編曲によって楽曲は全く違うものになるため、音楽を“影で支配している”のはこの編曲者ともいえるのです。
②知識だけでなくセンスも問われる仕事
作詞、作曲、編曲ともに知識・技術は当たり前のように求められるものです。音楽のプロフェッショナルなわけですから、その部分を磨くのは絶対です。
ただし、いくら知識があっても“センス”がなければ“ウケる”曲はできないでしょう。
ミュージシャンを目指すのと似た部分もあり、技術や実力があってもセンスがなければ仕事にはできませんし、ヒットするかどうかも運次第なのです。一つだけ言える確かなポイントは、知識や技術を磨き曲をたくさん作って“数で勝負”することも制作側には必要だという点です。
③コンペ応募や企業への所属など
たくさんの楽曲を作っても、何らかの形で作品として世の中に発表されない限り“仕事”とは言えないですし、収入も得られません。
音楽制作の仕事では、企業に所属して楽曲を作ると“安定雇用”のタイプもあります。ゲーム音楽やCM音楽など、世の中で需要のある音楽を制作して月給を貰うサラリーマンのような形ですね。
一方で、コンペと呼ばれる楽曲の公募に参加して収入を得る方法もあります。アイドルやタレントなどが歌う楽曲の歌詞や曲を応募して、選ばれればお金が発生する形です。
④ミュージシャン同様に動画サイトを活用してみよう
コンペに参加するなど、フリーランスの作曲家や作詞家として仕事を行うには業界で知名度を上げていく必要があるのです。
そのために有効活用したいのは、動画サイト。バンドやシンガー等と同様に、自らの楽曲を不特定多数の人に向けてPRすることができます。実際に、ニコニコ動画で爆発的な再生数を獲得して作曲の仕事を貰えるようになったという方も多いのです。
自分で作詞、作曲、編曲を行い歌う方もいますが、近年よく使われているツールは「ボーカロイド」と呼ばれるソフトです。初音ミクが有名ですが、自分の作った曲をコンピューターに歌わせるといったものです。
少し機械的な声質ですが、若者やアニメファンなどの層にはウケが良くカラオケに収録されるなど市場も広がっているため、作曲家にとっては良いPRの場だといえるでしょう。
⑤楽曲制作関係の職種一覧
・作詞家
・作曲家
・編曲家
・プロデューサー
・ディレクター
・サウンドエンジニア
など
4.音響・PA関係で音楽を仕事にするには
ミュージシャンが行うライブには、多くの人が関わっています。演奏者がいるだけでは、ライブが成り立たないのです。
ライブに関わる仕事の中で、パフォーマンスに影響を及ぼすのが音響の仕事でしょう。音響の良し悪しで、ミュージシャンの見え方は変わってきますし、ある意味“ミュージシャンは音響さんには勝てない”ともいえるのです。
そんな音響・PA関係の仕事について紹介します。
①ライブ、レコーディングなど活動の幅は広い仕事
ライブでのPAはもちろん、音楽イベント以外でもあらゆる場面で仕事があるのがこの音響の仕事です。
応用できる部分も多いので、活動の幅も広くお笑い、演劇などエンターテイメント関連のステージであれば音響の仕事は必ずと言っていいほど発生します。求人もそれなりに多く、ミュージシャンとは異なり運よりも圧倒的な実力や評判が仕事に直結すると言えるでしょう。
②専門学校への進学が仕事への近道
音響の仕事は、機械を使う技術職ともいえる職業です。ミキサー、マイク、スピーカーの扱いも理解しなければなりませんし、電気関連の知識、配線関係の知識が必要な現場も存在します。
そういった技術を学び、仕事に直結させるには専門学校に通うのが一番だとされています。専門学校であれば、現場での実務研修もありますし学びながら将来の就職につなげることも可能です。就職支援、アルバイト紹介もありますし、業界関係者との繋がりなども、積極的な活動によって獲得が可能でしょう。
③仕事の数は多いが給料はピンキリ
仕事の数が多い音響ですが、その収入はまさにピンキリ。企業に所属して雇われのような形であれば安定するかもしれませんが、アルバイトやフリーランスの方であれば日給で数千円のような安い現場が存在するのも現実なのです。
“稼げる”音響になるには、ミュージシャンの専属になる、レコーディングエンジニアとの兼業などの方法が考えられます。自分のライフプランを考えて、計画的に活動するのが大切です。
④音響・PA関係の職種一覧
・コンサート、ライブ音響
・イベント音響
・レコーディングエンジニア(ミキシング)
・テーマパークのスタッフ
など
5.音楽関係の仕事を探すのに有効なWebサイトを紹介
最後に、音楽関係の仕事を探す上で役立つWebサイトを紹介します。ミュージシャン、制作、音響どのような職種でも対応可能なWebサイトなので有効活用してみてください。
①musicman-net
音楽に関する、あらゆる職種が掲載されているWebサイトです。バンドマンやシンガーの方も、レーベルや事務所等の詳細が細かく載っていますので資料やデモテープを送付する際の参考になります。
②musicjob.net
制作スタッフや、音響、ライブハウス勤務など幅広い職種が掲載されているWebサイトです。求人地域から検索できるの特徴もあります。
③musicportal
制作スタッフや、音響、ライブハウス勤務など幅広い職種が掲載されているWebサイトです。求人地域から検索できる特徴があります。
音楽の仕事も様々!職種と業務内容を理解してどのように携わりたいかを明確にしよう
音楽を一生の仕事にするのは大変なことです。体力面も要求されますので、年齢を重ねるごとに仕事が辛くなることも予想されます。
それでも、大好きな音楽を仕事にできるというのは幸せなことかもしれません。今回紹介した内容を参考に、ぜひ自分の納得できる道を見つけてみてくださいね。
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