共働きの夫死亡時に遺族年金を受け取れる条件
残された配偶者には遺族年金が支給される
夫が老齢年金を受給している家庭において、先に夫死亡という形で配偶者が先立った場合、どうなるのでしょうか。このとき、残された配偶者である妻に対して、夫が受給していた老齢年金の内の一定額が支給される制度があり、これを遺族年金制度といいます。
遺族年金制度は、夫に支給される老齢年金を生活資金としていた配偶者の、夫死亡後の困窮を防ぐ目的で導入された制度です。夫死亡によって妻が残された場合、共働きであったとしても必ず遺族年金が支払われるでしょう。家族構成や年齢、年金の種類にもよりますが、夫の年金額に応じて受け取れます。
遺族年金の種類は3つに分類される
そんな夫死亡時に受け取れる遺族年金制度は、基本的に3つの種類に分類されます。
・遺族共済年金:国民年金の受給者すべてが対象
・遺族厚生年金:厚生年金の受給者のみ対象
・遺族共済年金:共済年金の受給者のみ対象
(平成27年10月以降は遺族厚生年金と統合)
基本的に働いている職種や形態によって、遺族年金の種類も変わります。夫死亡の事態になる前に、夫婦で事前にどの遺族年金が支払われるのか調べておくといいでしょう。
遺族年金の支給額には上限がある
夫死亡時の遺族年金を受け取る際に気をつけておきたい注意点の一つが、実際に支給される金額についてです。遺族年金の年間支給額には100万円までという上限が設けられいるので、この上限を超えない範囲でしたら、夫死亡時に共働きなどの妻にも年金が支給されます。
夫と妻が共働きでも年金の種類や家族構成によって遺族年金は支給される
夫死亡時の遺族年金に纏わるケースバイケースでよく登場する疑問の一つが、夫と妻が両方働いている共働き世帯の扱いについてです。果たして共働きでも遺族年金を受給できるのでしょうか。
夫婦共働きで、一定額の収入を労働から得ている家庭で考えます。夫死亡となった場合、遺族国民年金だと18歳未満の子供がいれば支給されるでしょう。
また、遺族厚生年金は、残された妻に対して勤労の有無に関係なく、一定額が必ず支給されます。そのため、共働きだからといって遺族年金が受け取れないのではないか?といった不安を持つ必要はありません。
共働きで残された配偶者の収入が850万円以上あると遺族年金が支給されない
ただし、共働きの形で妻側が職業を持っている場合、夫死亡時の遺族年金に纏わる注意点として留意しておきたい点があります。それは、遺族年金が条件によっては減額や支給されない点です。どのような条件があるのでしょうか。
その条件とは、所得制限です。遺族年金には、夫死亡時段階での妻の年収の制限がが850万円までとなっています。この金額を超える年収を持つ妻には夫死亡時でも遺族年金の受給が行われないので注意しましょう。
法律の改正で妻の遺族基礎年金を夫が受給できるようになった
以前の制度では、夫死亡時に共働きの妻など、残された遺族に対して一定額の遺族年金が支給される反面、妻死亡時には、残された夫には支給されませんでした。
しかし、女性の社会進出やいわゆる専業主夫の登場に伴い、子を持つ夫に対しても遺族基礎年金が支給されるようになりました。ただし、妻が遺族年金を受給する際と同様、子どもの年齢が18歳未満で、夫の年収が850万円の所得制限以下であるのが条件です。
遺族厚生年金を夫が受け取るには条件がある
遺族基礎年金は妻と同様に、18歳未満の子どもがいれば遺族基礎年金を全額受給できるようになりました。しかし、遺族厚生年金に関してはいくつかのルールや制限が残っています。
遺族厚生年金は妻の場合子供がいなくても支給ができました。しかし、夫は55歳以上でないと認められていません。また、18歳未満の子供がいる場合は、夫ではなくその子供に対して支給されるため、妻が得る遺族年金の金額よりも少なくなるでしょう。
共働きの夫死亡の際に遺族年金を受け取るには「子供が18歳未満・年収850万円以下」が条件
共働きの妻にも一定額の収入がある家庭でも子供が満18歳になっておらず、収入が850万円に達していなければ、夫死亡によって発生する国民年金の遺族年金は受け取る事ができます。また、妻死亡時に残された夫に対しては遺族基礎年金は全額支給されます。しかし、遺族厚生年金については、対象年齢の子供に受け取る権利が与えられている点を覚えておきましょう。
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