使用人兼務役員の退職金支給に関する扱い
労働者は退職金・役員は役員報酬を受け取る
退職金の支給は、通常使用人である労働者と役員の退職金が全く別のものとして区別されています。労働者の場合は通常の退職金となりますが、役員の場合には役員報酬となるので基本的な支給自体が異なってくるわけです。
使用人兼務役員とは部長など『肩書き』がついた労働者
では使用人兼務役員と呼ばれる使用人と役員を兼任している人はどうなのでしょうか。使用人兼務役員とは、肩書きが部長、課長など職制上の地位がありながら、実務上は使用人としての実務がある人のことを指します。
簡単に言えば、名前だけ役員といった感じですから、その時点では退職金に関しては使用人としての退職金の支給が可能となっています。
使用人兼務役員は労働者なので通常退職金が支給される
使用人兼務役員の退職金支給に関してですが、これは非常に曖昧な部分があるので会社できちんと支給方法を考えておかなければ、トラブルの元となる可能性があります。
何故なら使用人兼務役員の場合、実務自体は使用人となんら変わらないので、通常の退職金支給の対象となりえる場合があるからです。
退職金の支払いは専任役員になるかどうかだけ要確認
通常であれば役員は役員報酬が退職金となりますので、会社が勝手に役員に対して退職金の支給は出来ないわけですが、使用人兼務役員の場合は実務の問題があり、使用人としての退職金を役員期間中のものも含めて支給することができます。
しかし専任役員になった場合には、退職金自体が損金として扱えなくなり、会社の税制上の負担が増えることになります。
使用人兼務役員の退職金支給の扱いと時期とは?
使用人兼務役員に退職金を支給する場合、使用人期間と役員期間を区切った上で別のものとして考える必要があります。ですから、使用人兼務役員になった時の退職金支給方法を、就業規定や退職金規定で定めておく必要もあるでしょう。
使用人兼務役員になった時点で一旦退職金をもらおう
一般的には、使用人兼務役員担った時点で使用人期間の退職金を一旦支給してしまうのが通例です。こうすることで、その後の退職金は役員期間中のものだけとなり、役員報酬としての扱いになります。
そうすれば役員後の退職金と前の退職金を区別できますし、その時点で退職金を支給してしまうので、後になって役員の退職金が使用人期間のものでも役員報酬と見なされることを防ぎ、損金算入出来なくなるのを防止することも出来ます。
退職金の金額は支給時期で変わる可能性がある
会社にとって使用人兼務役員の退職金は税制上の扱いが大きく異なってくるので、支給時期を間違えてしまうと全てが役員報酬としての扱いとなってしまい、損金算入出来なくなる恐れもあります。そういった点も含めて、確認しておきましょう。
使用人兼務役員に任命されたら使用人期間の退職金を支給してもらおう
使用人兼務役員は、退職金の支給が無いまま専任役員になってしまうと使用人時代の退職金が役員報酬となってしまいます。そうなってしまうと会社の独断での支給は出来なくなり、株主総会や役員会議で決議が必要となってしまうので、退職金の減額などの恐れが出てくるのです。
会社が使用人兼務役員に任命した時点で、きちんと使用人期間の退職金を支給するかどうかが、トラブル回避のポイントとなります。
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