完全月給制と日給月給制の違いとそれぞれの特徴
欠勤控除ナシ!完全月給制
まず一つ目の種類が「完全月給制」です。完全月給制は、月額で給与が固定されており、何日働いても、もしくは何日休んでも一定の固定的給与が支払われる給与形態のことを指します。主にこの形態は、企業の「管理職」に該当する人に採用されているケースが多くいです。他との違いとしては、時間外や、休日出勤といった本来であれば割増賃金に当たるものも一定の時間数分までは、基本給や職責・役職手当という形にして固定的に支給されるというものです。
管理職に多く見られるが休日出勤が多いと損
何日休んでも欠勤控除がない、という部分は大きなメリットではありますが、逆に何日働いてもその分を加算されることがないデメリットもあるため、「名ばかり管理職」といったように、ほとんど休みなく働かざるを得なくなる労働者をうむ原因にもなっています。
人件費を抑えるために起用されている
企業によっては、時間外や休日勤務が一定の時間数を超えると、時間外手当を支給するケースもあるようですが、どちらかというと、人件費を抑えるために起用されるケースが多い給与形態なので、それ以上は支給しない企業の方が多いと考えてよいでしょう。
月給だけど働いた分だけ!日給月給制
もうひとつの種類が「日給月給制」です。完全月給制と同様「月給制」という言葉が入ってはいますが、実質的には完全月給制とは違い、「日額×月労働日数」の金額を一カ月分と定め、まとめて支給する給与形態のことを指します。多くの企業の管理職より下の一般社員に採用されているケースが多い給与形態です。完全月給制と違い、欠勤をはじめとする「無給休暇」を取得した場合は、その企業の給与規則に従って計算された日数分の給与が控除される「欠勤控除」がある、という仕組みになっているため、同じ月給制でも頭に「日給」という言葉がつきます。
日給月給制とよく似た月給日給制
また、日給月給制とよく似た言葉の「月給日給制」という給与形態もあり、これは完全月給制と同様、日数に関係なく月額の固定金額が定められています。しかし、欠勤や無給休暇を取得した場合は、日給月給制と同様に欠勤控除があるため、いわば、完全月給制と日給月給制の間をとった給与形態に当たります。日給月給制と月給日給制という言葉ついては、法律上の規定はないため、日給月給制=月給日給制と大きな違いはないと解釈し、運用している企業が多いようです。
失業給付算定方法に差がある
ここまで、完全月給制と日給月給制についてご紹介してきましたが、この給与形態の違いによって、退職時に発行される「雇用保険離職票」の賃金支払い基礎日数のカウント方法に違いがあります。完全月給制については欠勤控除がないため、休日・祝日も含めた「暦日数」が賃金支払い基礎日数となり、失業給付の日額を決める時も、6カ月の賃金平均を暦の日数で割って計算します。
日給月給制の方が失業保険は高くなる
しかし、日給月給制の場合、休日・祝日は賃金支払いの基礎日数には含めず、実際の労働日数で6カ月の賃金平均額を割って計算することになっており、欠勤や無給休暇を取得した場合は、実際の労働日数から欠勤控除分の日数を引くことになります。もし、6カ月の平均賃金が全く同じ金額の完全月給制の人と日給月給制の人がいたとしたら、単純計算すると、日給月給制の人の失業保険の金額の方が高くなると考えられ、そこが2つの大きな違いです。
完全月給制と日給月給制の違いとは欠勤控除の有り無しで失業給付算定方法に差がある
いかがでしたでしょうか。完全月給制と、日給月給制。聞いただけでは大きな違いがないように見えます。また、「欠勤控除なし」の完全月給制の方が、条件が良いように思われがちですが、割増賃金が含まれての金額であることを考えると、一概にそうとは言えず違いが分かれば、それぞれにメリット・デメリットがあることがわかります。特に転職活動中の人は、後になって「そんなはずではなかった!」なんて想像と現実のギャップの違いがうまれないよう、「自分がどういう賃金形態を希望するのか」を明確にしておいた方がよいでしょう。
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