学歴別で見た平均年収や初任給データ【博士はお得?】
学歴別の平均年収で一番お得なのは大学院卒?
大学院に進むのは、初任給のデータだけを見ると"お得"かもしれません。大卒に比べて初任給を引き上げられるからです。
大学の学部は4年間です。4年かけて、高卒よりも所得が約1割アップするとされています。それに比べて、修士課程は2年間で、所得が約1割アップします。このように考えると、大学院に進学するのはおいしいですね。
初任給についてだけであれば「修士」が最もお得
しかし、注意が必要です。厚生労働書が公開している数字は、大学院の中でも修士課程修了者の初任給であり、博士課程に関してではないのです。
大学院には、博士課程もあります。博士課程は、修士課程の先にあるので、学問としてのレベルは当然高くなります。しかし、この博士課程には「学歴が上がれば初任給も上がる」法則は通用しないのです。
博士には高学歴ワーキングプアの問題が
「高学歴ワーキングプア」という言葉が流行ったように、博士課程を出たにもかかわらず、安定した職につけず、困窮する方がたくさんいます。
初任給を上げることだけを考えるのであれば、学歴は博士ではなく修士でストップさせるのが懸命かもしれません。
なぜ学歴別で初任給や平均年収が変動するのか?
給料が高い方は、仕事がよくできる人です。では、学歴が上がればあがるほど、仕事ができるようになるのでしょうか?これについては、仕事内容によるでしょう。
実際に、難しい分析を行う職場であれば、大学院で専門的なトレーンングを受けた方は有利になります。しかし、接客や営業など、対人スキルが要求される仕事はどうでしょうか?「大学院を出たから営業が得意だ」と断定することはできません。
スキルや潜在能力を図る指標として便利だから
では、なぜ学歴別で初任給や平均年収が変動するのでしょうか?学歴別に判断してしまった方が、企業としては仕事ができるかどうか図る指標として、手っ取り早いからです。
企業の人事も、さすがに新卒の能力を完全に把握できません。新卒の場合は当然まだ働いていないので、実際の能力が分かりませんので、学歴別に目安としての初任給を決めています。
厚生労働省が発表している学歴別の初任給データ
学歴別で、どれだけ初任給が違ってくるのか。厚生労働書が発表している平成26年のデータを使ってみてみましょう。初任給が違えば、当然平均年収にも影響します。一時的なデータではなく、入社初年度から数年間の平均年収の参考にするのにも、初任給のデータは役立ちます。
修士課程修了は22.8万円/高卒は15.8万円(H.26年)
厚生労働書が発表している、平成26年の学歴別の平均初任給は、以下のようになっています。
【学歴別データ~初任給~】
■大学院(修士課程修了): 22.8万円
■大学卒: 20万円
■高専短大卒: 17.4万円
■高卒: 15.8万円
年度によって多少の増減はありますが、学歴が上がれば上がるほど、初任給も上がっていることがわかりますね。歴が1段あがるごとに、初任給が約1割増えています。
初任給が一番高いのは大学院卒です。逆に、一番低いのは高卒です。大学院卒の初任給を高卒と比べると、その差は約1.5倍にもなります。なお、このデータでは、博士課程の初任給を省略していますが、博士課程と修士課程とは、同じ"院卒"として扱われる場合が多いです。
平均年収では「約84万円」の差が生まれる
年収ベースで計算すると、その差はなんと約84万円。先ほどの学歴別データをもとに、平均年収の数値も見てみましょう。
【学歴別データ~初年度の平均年収~】
■大学院(修士課程修了): 273.6万円
■大学卒: 240万円
■高専短大卒: 208.8万円
■高卒: 189.6万円
※ボーナスは含まない。
年収には、月給以外にもボーナスが入りますから、実際の平均年収は全体的に底上げされます。ただし、初任給の金額が高い方がボーナスの受給額も高くなる傾向にありますから、院卒と高卒の平均年収は、さらに広がると考えられますね。
学歴別の平均年収や初任給には大きな差があるが、博士にはワーキングプア問題もある
学歴別で見た平均年収や初任給データについてまとめましたが、いかがでしたか?
学歴があがれば、初任給も上がりますが、しかし、所得を上げるために学歴を上げるのは、正しくないかもしれません。学歴で初任給が決められる根拠は怪しいものです。実際に、学歴が低くても仕事ができる人はたくさんいます。
仕事ができれば、初任給では負けても、入社後に逆転できる可能性がありますので、学歴を追い求めてワーキングプアになる博士もいます。博士になれば必ずしも年収が高くなるとは断定できませんので、学歴に頼らずに働けるようになるのが、理想です。
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