J検(情報検定)の内容と名称変更にともなう履歴書への書き方
J検(情報検定)とは?
J検とは、情報検定の通称です。J検は、文部科学省の後援のもと、【一般財団法人職業教育・キャリア教育財団】が主催する検定試験で、ITにかかわる知識、技術を問うものとなっています。
3種類の試験が用意されている
J検の3つの試験
- ・情報システム試験
- ・情報活用試験
- ・情報デザイン試験
J検には、大きく3種類に分けられる試験が用意されています。それが、上記の3つです。J検ではこの3つの試験を通して【創る】【使う】【伝える】の3つの力を伸ばすための道しるべを、受験者に提供しているのです。それでは、これらの試験の概要をみてみましょう。
①:情報システム試験
J検の情報システム試験では【創る】力を伸ばすことを目的としており、【ソフトウェアの開発】【プログラマー】【システム開発技術者】といった道を目指している人向けの試験になっています。試験科目には、以下の3つがあります。
基本スキル
1つ目は基本スキルで、これはソフトウェアの開発をめざす人を対象とした検定試験です。
【ソフトウェア開発の基盤となる情報の表現・ハードウェア・基本ソフトウェアに関する基礎知識】
【ソフトウェア開発における技法やプロジェクトマネジメント】
の2つの能力が評価されます。
プログラミングスキル
2つ目はプログラミングスキルで、プログラマをめざす人を対象とした検定試験になります。
【想定処理に対して適切なデータ構造とアルゴリズムを適用できる能力】
【適切なテストケースを作成し、テスト結果の正当性を評価できる能力】
【表計算ソフトを活用した問題解決能力】
の3つの能力が評価されます。
システムデザインスキル
3つ目はシステムデザインスキルで、システム開発技術者をめざす人を対象としています。
【システムの開発と、それに必要なネットワーク技術・データベース技術】
【セキュリティと標準化に関する知識】
が評価の対象です。
基本スキルとプログラミングスキルの2つに合格すると【プログラマ認定】、基本スキルとシステムデザインスキルの2つに合格すると【システムエンジニア認定】が交付されます。3科目すべてに合格すれば、両方が交付されます。
【プログラマ認定】
基本スキルとプログラミングスキルの2つに合格
【システムエンジニア認定】
基本スキルとシステムデザインスキルの2つ
②:情報活用試験
J検の情報活用試験では、【使う】能力を伸ばすことを目的にしています。
こちらは主に情報活用能力を総合的に評価する試験で、中学生から社会人まで、情報を使う能力を測るガイドラインになっています。情報化社会の基礎知識、パソコンスキルを試したい人に向いていて、3級から1級まであります。
3級
3級は、すでに環境設定されたパソコンを利用できる人を対象とした検定試験で、
【情報化に主体的に対応するための基礎知識】
【クライアント環境のパソコンの操作・利用と役割・機能、情報の利用・モラルに関わる基礎知識】
が問われます。
2級
2級は、自分のパソコンを快適に環境設定できる人に向けた試験です。
【情報社会の仕組みの理解、職場における業務推進の基礎的能力】
【クライアント環境のコンピュータと各種機器の役割と機能、環境設定の基礎知識】
【ソフトウェアの種類と機能、インターネット、情報モラル、セキュリティの基礎知識】
が評価されます。
1級
1級は、ネットワーク化された環境での情報機器の設定・操作・活用の知識を持つ人、情報の加工や活用ができ情報社会に関わっていく人に向けた試験で、
【情報社会での実践的能力】
【ネットワーク環境にあるコンピュータと各種機器の役割、アプリケーションソフトを活用した問題解決の知識】
【情報化社会に関わる問題とセキュリティに対応する応用知識】
が評価されます。
③:情報デザイン試験
J検の情報デザイン試験では、【伝える】力を伸ばすことを目的にしています。
情報を受け取り、伝える力を総合的に評価する試験です。
【これから社会に出て働きはじめる人】
【情報伝達にコンピュータを使う人】
【コンピュータを用いた自己表現に興味がある人】
【情報発信スキルを磨きたい人】
に向いていて、初級と上級があります。
初級と上級
これらは、これから社会に出る学生、すでに社会人となっている人を対象としており、初級では、
【情報社会で問題解決をおこなう上での基礎的能力】
が評価されます。上級ではそれに加えて、
【実践的な場面における知識、技能や多様な状況での対応力】
が評価されます。
制度変更により正式名称が変わり【情報検定】になった
J検について理解しておかなければならないのは、J検の正式名称が2006年に【情報検定】になったということです。
それまでは呼ばれていた正式名称と、現在の正式名称は変わっているので、いつの情報検定を受けたかによって、履歴書への書き方が変わってきます。
以前は【情報処理能力認定試験】【情報処理活用能力検定】
J検は1994年6月から2006年の6月まで、文部科学省認定の【情報処理活用能力検定】という名前でした。さらに1993年以前は、文部科学省後援の【情報処理能力認定試験】という名前だったのです。
呼び方の変化
- 開始から19993年…情報処理能力認定試験
- 1994年~2006年…情報処理活用能力検定
- 2006年~現在…情報検定
J検の各試験合格を履歴書に書くときは名称に注意
上記でご紹介した通り、J検は正式名称が年によって変わっています。最近合格したのならば問題ありませんが、かなり以前に合格している場合は自分が合格した時の名前がなんだったかを注意して、【以前の名前】で書いてください。以下の記載例では、過去のものも含めて、履歴書への書き方をご紹介します。
履歴書への記載例
◆平成5年度試験以前(第1回~第10回情報処理能力認定試験)
- 【文部科学省後援情報処理能力認定試験○級合格】
- (例)→文部科学省後援 情報処理能力認定試験A級合格
◆平成17年度試験以前(第1回~第24回情報処理活用能力検定)
- 【文部科学省認定 情報処理活用能力検定○級合格】
- (例)→文部科学省認定 情報処理活用能力検定1級合格
◆平成18年度前期試験(第25回情報処理活用能力検定)
- 【文部科学省後援 情報処理活用能力検定○級合格】
- (例)→文部科学省後援 情報処理活用能力検定1級合格
◆平成18年度後期試験以降(現在のJ検)
- 【文部科学省後援 情報検定 ○○試験○○合格(認定)】
- (例)→文部科学省後援情報検定 情報活用試験1級合格
- 文部科学省後援 情報検定 情報システム試験プログラマ認定
- 文部科学省後援 情報検定 情報デザイン試験上級合格
J検に合格する意義とは?
それでは、このJ検を学び、受験して合格、認定を得ることには、どのような意義があるでしょうか。最後にJ検の意義について見ていきましょう。
ICT能力を客観的基準で評価するJ検
現代の情報社会では、仕事に限らずあらゆる場面で情報を扱うICT(情報通信技術)能力が問われます。このICT能力を、客観的に評価するのがJ検(情報検定)です。
J検では、基本的・一般的な、現代において身につけておきたい知識・技術が、最新の情報技術も交えて出題されています。
入学優遇や昇給基準などに効果あり
また、J検合格者は一部の学校・教育機関において、入学優遇制度や単位認定制度を受けられます。さらに企業においても、採用や人事考課査定(昇給など)の基準として、J検が採用されているようです。
とはいえ、J検を履歴書に書くだけで就職が完全に安定というわけではありません。J検を道しるべとしつつ、その他の資格も合わせて取得していくのを目指すのが良いでしょう。
ICT能力を客観的に評価するJ検!履歴書にも正しく記入しよう
J検(情報検定)の意義と、履歴書への書き方をご紹介しました。J検はICT能力を客観的に評価するもので、一部企業では採用や昇給の基準にもなっているようです。また、J検は以前とは正式名称が変更になっていますから、履歴書へ書く際はその正式名称に注意してください。ご紹介した例や、J検のホームページを参考にして、正しく履歴書に記載しましょう。
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