電気通信主任技術者試験の難易度は?受かるための勉強法
電気通信主任技術者とは?
電気通信主任技術者になるには、国家試験に合格するか、電気通信主任技術者の養成課程を修了する必要があります。本記事では、電気通信主任技術者の国家試験について、その難易度や関連資格との難易度比較、勉強法をご紹介します。
電気通信事業者に選任が義務付けられている
電気通信事業者は、その設備の維持のために電気通信主任技術者を選任し、設備の工事・維持・運用などを監督することが義務付けられています。これは、事業場や都道府県などごとに配置する必要がある「必置資格」となっています。
「伝送交換」と「線路」の2種別
電気通信主任技術者には「伝送交換」と「線路」の2つの種別があります。それぞれ「電気通信事業の用に供する(伝送交換設備/線路設備)及びこれに附属する設備の工事、維持及び運用」が監督の範囲となっています。
電気通信主任技術者試験も、伝送交換と線路の2種別に分けられます。
電気通信主任技術者試験の難易度は?
それでは、電気通信主任技術者試験について見ていきましょう。電気通信主任技術者試験の難易度は、電気通信分野の国家資格の中では1、2を争う難易度の高さです。一般的な資格全体で見ても、難しい方に位置するでしょう。
近年の合格率は約20%
電気通信主任技術者試験は年に2回おこなわれています。平成26年度第1回から平成28年度第1回までの、計5回の試験の合格率は以下のようになっています。多少のばらつきこそありますが、合格率は約20%となっています。
平成26年度第1回:15.2%
平成26年度第2回:19.9%
平成27年度第1回:19.9%
平成27年度第2回:19.9%
平成28年度第1回:20.1%
しかし、電気通信主任技術者試験の難易度を、この合格率だけから判断してはいけません。
4科目に合格する必要がある
というのも、電気通信主任技術者試験には、伝送交換・線路ともに4科目が実施され、4科目すべてに合格する必要があるからです。以下の4科目です。
①電気通信システム
②法規
※電気通信システムと法規は、伝送交換・線路で共通の問題です。
③専門科目
※伝送交換では5科目から1科目、線路では3科目から1科目を自由に選択して回答します。
④設備・設備管理
※設備・設備管理の内容は、伝送交換と線路で異なります。
科目ごとの合格は3年間有効
これら4科目のうち、どれか1つでも合格すれば、その合格はその後3年間(つまり6回分の試験)で有効となり、免除されます。上記の合格率は、あくまでその回の試験で合格が決まった人の数をもとにしているため、前回までの試験で何科目かに合格し、科目免除を受けた人も含まれています。
4科目を一度で合格するのは難易度が高い
この4科目すべてを、一度の受検ですべて合格するのは非常に難易度が高いです。合格率にすると3%前後となるようです。電気通信主任技術者試験は、一発合格するには非常に難易度が高く、何回か受験を重ねて合格する人が多いのです。
電気通信主任技術者の関連資格とその難易度
それでは、電気通信主任技術者資格と関係の深い資格の例と、その難易度をご紹介します。ぜひ、資格取得によるキャリアアップの参考にしてみてください。
工事担任者の概要と難易度
電気通信主任技術者と、もっとも関係の深い資格が工事担任者です。工事担任者も電気通信主任技術者と同じく国家資格で、7種類に分類されます。
ネットワークの末端で工事をおこなう
工事担任者は、電気通信回線と端末設備などを接続するために必要とされる資格で、アナログ電話回線・デジタルデータ回線に、端末設備などを接続する工事をおこなったり、監督したりします。
電気通信主任技術者がネットワーク全体の管理、工事担任者がネットワークの末端での工事をおこなうという形です。
電気通信主任技術者よりも難易度は易しめ
上記にご紹介した通り、工事担任者資格には7種別があります。その最上位であるAI・DD総合職でみると、近年の合格率は17~20%となっています。また、電気通信主任技術者と工事担任者を比較すると、電気通信主任技術者の方が難易度は高くなるようです。
電気主任技術者の概要と難易度
電気通信主任技術者と混同してしまいがちなのが、電気主任技術者です。略称として「電験」と呼ばれることもあります。
電気設備の保安監督が仕事
電気主任技術者は、発電所・変電所・工場・ビルなどで、電気設備の保安監督をします。その名の通り、「電気通信」と「電気」の違いです。電気通信主任技術者と同じく必置資格となっています。
第一種、第二種電気主任技術者は難易度が高い
電気主任技術者は第一種から第三種があり、全体的に難易度が高めになっています。第三種よりも電気通信主任技術者の方が難易度が高く、その上に第二種電気主任技術者、第一種電気主任技術者と続くという形です。
技術士の概要と難易度
技術関連の資格の中で最も上位に位置するのが技術士資格です。技術士は「名称独占」とされている国家資格であり、この資格を取っていない人が技術士と名乗ることそのものが禁止されています。
科学技術の全領域に部門を持つ資格
たとえば電気通信主任技術者は、その名の通り電気通信に関する資格です。このように、技術系資格は専門分野ごとに設けられていますが、技術士資格は非常に多くの部門区分を持っており、科学技術の全領域に渡っています。
資格取得のためには実務経験が必要
技術士資格を取得するためには、試験だけでなく実務経験が必要です。技術士試験には1次試験と2次試験があり、1次試験合格者は「技術士補」、2次試験合格者は「技術士」となりますが、この2次試験を受けるためには7年間の実務経験か、技術士補としての4年間の実務経験が必要です。
出題範囲は電気通信主任技術者試験よりもはるかに広い
電気通信主任技術者として従事している方が技術士を目指すとすれば、電気電子部門での受験になるでしょう。しかし、電気電子部門の出題範囲は、電気通信主任技術者試験よりもはるかに広くなっており、応用力も求められます。非常に高い難易度だといえます。
電気通信主任技術者試験の勉強法!
最後に、電気通信主任技術者試験の勉強法をご紹介します。どんな試験もコツコツと勉強するのが重要なのは変わりませんが、少しでも確実に高得点を取れるようになりたいものです。
特殊な選択問題が含まれるため、確かな知識が必要
電気通信主任技術者試験は全てがマークシートの選択式問題ですが、一部に特殊な形式の選択問題があります。以下のような問題です。
【例】
以下の3つの文章A、B、Cについて、それぞれの正誤を述べよ。
【選択肢】
①Aのみが正しい ②Bのみが正しい ③Cのみが正しい
④A、Bが正しい ⑤A、Cが正しい ⑥B、Cが正しい
⑦A、B、Cすべて正しい ⑧A、B、Cすべて正しくない
A、B、Cの全ての文章について正しく判断できなければ不正解になってしまうという、難易度の高い問題です。
問題を解くだけでなく、知識を固めていく
上記のような問題を攻略していくためには、しっかりと基礎の固まった知識が必要です。そのためには、単に問題集を解いていくだけでなく、解説をしっかり読み、それでも理解が完全でない内容は参考書などで確認していくのがよいでしょう。一問一問を大切にして勉強していきましょう。
問題の傾向が変化するのに注意
また、電気通信主任技術者試験は、回ごとに問題の傾向が変化します。過去問と似た問題が出題されることも少ないです。そのため、数回分の過去問を解いただけでは出題範囲をカバーしきれません。過去問はできるだけ昔のものまでチャレンジするとよいでしょう。
免除制度を活用する
また、電気通信主任技術者試験には免除制度があり、4科目のうちいくつかを免除できる場合があります。他の資格を取得している、関係する教育機関を卒業しているなど、免除の条件は細かく設定されていますから、一度確認してみましょう。
電気通信主任技術者試験は、一発合格が難しい難易度!基礎をしっかり固めて挑戦しよう
電気通信主任技術者試験の難易度・勉強法と、関係資格の概要についてご紹介しました。電気通信主任技術者試験に合格するためには、4つの科目すべてに通過しなければなりません。これらを一度の受験で合格するのは非常に難易度が高いです。
複数回の受験も視野に入れて、各科目の知識をしっかりと固めていきましょう。
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