「する」の正しい敬語は?【尊敬語・謙譲語・丁寧語】
社会人として自信を持って敬語を使おう!
社会人として、ビジネスシーンに限らず様々な場面で、敬語を使わなければなりませんよね。なんとなくで敬語を話すことはできても、少し不自然に感じる使い方をしてしまうと、「間違ったかな?」と不安になってしまうこともよくあります。
「する」のような、普段何気なく使っている言葉は、逆に敬語にするとき悩むのではないでしょうか。
「する」の正しい丁寧語は?
そこで、「する」の尊敬語・謙譲語・丁寧語について、正しい敬語としてどういった変換をする必要があるかを見ていきましょう。
まずは丁寧語からです。敬語は相手を立てたり、自分がへりくだったりして敬意を表すのが基本ですが、丁寧語はより広範囲に、相手や話す内容を問わずに使われます。
「する」を丁寧語に変換:「します」
いざ「する」を丁寧語に変換するとどうなるのか、問われると悩むかもしれませんが、「します」が正しい敬語の形となります。「する」と同様「します」も日常会話で何度となく使っている表現ですから、今からとくに意識する必要もない人がほとんどではないでしょうか。
「します」を使った例文
それでは改めて、私たちはどんなときに「します」という敬語を使っているかを確認してみましょう。
【状況】
翌日の13時に「連絡する」旨を相手に伝えたいとき
【例文】
それでは、明日の13時に連絡します。
【状況】
来客に対して、自分が「対応する」旨を伝えたいとき
【例文】
○○様はおそらく○○の要件なので、私が対応します。
【状況】
頼まれた調べものについて、当日中に「報告する」旨を伝えたい時
【例文】
では、この件については今日中に調べて報告します。
このように、とくに意識せずとも、「する」の丁寧語は普段から使いこなしているのではないでしょうか。打ち解けた上司や同僚、ご近所さんや知り合いなど、あらゆる相手に丁寧語は使えます。
「する」の正しい尊敬語は?
それでは次に「する」の尊敬語について見ていきましょう。
尊敬語は、敬意を表すべき相手の行動に対して使い、相手の行動を立てて、敬意を伝える表現です。「する」の尊敬語の場合には、相手が何かを「する」ときに、その行動に対して尊敬語を使うことになります。
参加する、出席する、利用するなど、「○○+する」の形で、非常によく使うのが「する」という言葉です。尊敬語の形でもこの表現が使いこなせると、会話がとてもスムーズになるでしょう。
「する」を尊敬語に変換:「なさる」「される」
「する」を尊敬語に変換すると、「なさる」「される」という敬語になります。また、「あそばす」という表現もありますが、これは今ではほとんど使われないでしょう。基本的には、「なさる」「される」を覚えておけばOKです。以下の例文も合わせて、使い方に慣れておきましょう。
「なさる」「される」を使った例文
それでは「する」の尊敬語、「なさる」や「される」を使った表現について見ていきましょう。
【状況】
上司に、次回の飲み会に「参加する」か尋ねたいとき
【例文】
8月26日に飲み会がありますが、参加なさいますか?
【状況】
ある人が、次のパーティーに「出席する」旨を伝えるとき
【例文】
9月3日のパーティーには、○○様も出席される予定です。
【状況】
ある人がよく「利用する」施設について紹介するとき
【例文】
駅前のスポーツジムは、○○さんもよく利用されています。
受け身の「される」との混同など、あらためて考えるとややこしいかもしれませんが、自然に使えるように練習しておきたいものです。
「する」の正しい謙譲語は?
次に「する」の謙譲語をご紹介します。
謙譲語は、自分の動作をへりくだって表現することで、間接的に相手に敬意を示す敬語です。つまり「する」の謙譲語の場合は、自分が何かを「する」際に、その行動をへりくだった表現で表すことになります。
尊敬語と同じく謙譲語でも、「○○+する」の形で使うことが多いです。正しく敬語に変換できるよう、マスターしておきましょう。
「する」を謙譲語に変換:「致す」
「する」を謙譲語に変換すると「致す」となります。もちろん「致す」のまま使うのではなく「致します」という形で使いましょう。「○○+する」の形も基本的に「○○致します」という言い方にすれば良いので、使いやすいのではないでしょうか。
「致す」を使った例文
それでは、「する」の謙譲語「致す」を使った例文を見ていきましょう。
【状況】
相手の指示を「承知した」旨を伝えるとき
【例文】
○○の件、承知致しました。
【状況】
お客様をどこかへ「案内する」とき
【例文】
それでは○○へご案内致します。
【状況】
主催者側で「用意する」ものを事前に周知するとき
【例文】
筆記用具はこちらでご用意致します。
このように、謙譲語への変換は非常にシンプルなので、わかりやすいでしょう。
「相手の許可を受けたい行為」のときは「させていただきます」
「○○+する」の形の謙譲語をご紹介しましたが、すべての形で「致す」が使えるわけではないので注意してください。たとえば、「相手の許可を受けたい行為」であるときです。
【状況】
ミーティングに、取引先の会議室を使いたいとき
【例文】
次回のミーティングは、御社の会議室を利用させていただきたいのですが。
このようなとき、「御社の会議室を利用致したいのですが」とは言いませんよね。場合に応じて、「させていただきます」も使えるようにしたいものです。
誤った敬語に要注意!
ここまで「する」の敬語について、丁寧語、尊敬語、謙譲語に分けてご紹介してきました。最後に、「する」の敬語に関連して、誤用してしまいがちなポイントを見ていきましょう。丁寧な言葉遣いをしようとするあまり、間違った使い方をしてしまうケースがあります。
誤用であっても、その気持ちは相手に伝わるかもしれませんが、どうせなら正しい使い方をしたいですよね。
「拝見させていただきます」は賛否両論
「する」の謙譲表現の一種として「させていただきます」をご紹介しました。しかし、この「させていただきます」は使い方に注意が必要な言葉です。
たとえば「拝見させていただきます」ですが、これは二重敬語という誤った使い方である声もあります。ひとつの言葉について、二重に敬語を使ってしまうのは誤りなのです。
「拝見させていただきます」の場合、「拝見」という言葉がすでに謙譲語ですから、「させていただきます」を使う必要はありません。この場合は、「拝見します」で良いのです。
とはいえ、「拝見します」だとぶっきらぼうな印象を受けるかもしれません。その場合は「拝見致します」としましょう。「拝見致します」も二重敬語ではないかという声がありますが、すでに広く使われているため、あまり違和感はありません。
また、「拝見させていただきます」そのものも、二重表現にはあたらず、状況に応じて使ってよいという声もあり賛否両論です。
しかし、この「させていただきます」は、相手に違和感を与えてしまう場合があるため注意が必要です。
「させていただきます」の濫用は危険
「させていただきます」は上記でご紹介した通り、「相手に許可を受ける行為」の場合にのみ違和感なく使えるものです。
「させていただく」は他の言葉とつなげやすいだけに何度も使ってしまいそうですが、「説明させていただきます」「卒業させていただきました」など、本来の用途と違う場面で使いすぎると、逆に慇懃無礼な印象を与えてしまいます。
「致します」で充分な場面も多いですから、「させていただきます」を濫用しないように注意しましょう。
尊敬語と謙譲語の混同にも注意
敬語においては、尊敬語と謙譲語の混同にも注意が必要です。たとえば「致す」は「する」の謙譲語ですから、相手の行為に対して使うのは失礼です。ですから、「○○さんは、牛肉と鶏肉、どちらに致しますか」といった使い方は誤りです。注意してください。
「する」の敬語は言い換え可能な場面が多い
また、敬語は他の表現で言い換えが可能な場面も多いです。敬語でビジネスメールを書く際などは、一つの言葉の尊敬語や謙譲語にこだわりすぎず、より自然な言い換えができないかも考えてみましょう。
たとえば、「利用される」という表現をご紹介しましたが、これは「ご利用になる」と言った方が自然に聞こえる文脈も多いです。
「する」の敬語は【尊敬語=なさる・される、謙譲語=致す、丁寧語=します】
「する」の敬語表現についてご紹介しました。尊敬語は「なさる、される」謙譲語は「致す」丁寧語は「します」という言葉になります。尊敬語と謙譲語の混同や、丁寧にしようと思うあまりの二重敬語に注意してください。ときには、別の表現がないかを考えてみると、より自然な言い方、書き方が見つかるかもしれません。
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