初任給では天引きされる?社会保険料の仕組み
社会保険料の種類とは?
社会保険とはどのようなものか、皆さんは理解できていますか?仕組みを見ていく前に、まずは「社会保険料の基本」と題して、社会保険料について詳しく見ていきましょう。
社会保険の種類は労災保険・雇用保険・健康保険・年金保険
社会保険には、次のような種類が存在します。
▽労災保険:仕事中や通勤中に生じた怪我や病気に対し給付される
▽雇用保険:失業や出産・育児などにより離職中の人に対し給付される
▽健康保険:業務とは関係のない医療費に対し給付される
▽年金保険:老齢や障害、死亡などにより働けなくなった際に本人または家族に給付される(民間企業の会社員の多くは厚生年金保険に加入)
このうち、社会保険料として控除される保険料には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が存在します。(40歳以上になると介護保険料が加わります。)労災保険料は全額会社負担となります。
社会保険料は種類によって計算方法がそれぞれ異なる
社会保険料は種類によって計算方法に多少の違いがあります。また、保険料率はそれぞれ異なるのです。健康保険料、厚生年金保険料は標準報酬月額によって決まります。
雇用保険料の労働者負担は一般の事業が5/1,000、農林水産清酒製造の事業および建設の事業が6/1,000となっています。ちなみに健康保険料は、都道府県や市町村によって異なりますので、注意しましょう。
健康保険と厚生年金保険料は4・5・6月の給料で決まる
健康保険料と厚生年金保険料の算定には、標準報酬月額表というものが使われます。これは、1年に1回、4月、5月、6月の報酬月額の平均で決定します。これはその年の9月から翌年の8月まで固定されます。
ただし、昇給や降給などにより報酬月額が大幅に変わった場合は事業主の届出により随時改定されます。
社会保険料の計算例をご紹介!
各保険料について分かってきたところで、具体的に保険料の計算方法を見てみましょう。大阪で働く一般事業のAさん(35歳)の場合。
【例】給料300,000円、通勤手当10,000円、扶養家族なし。給料と通勤手当の合計が310,000円。4月、5月、6月分の時の給与も、同額の給料+通勤手当=310,000円と仮定。
報酬月額は≪310,000円以上~330,000円未満の範囲≫に当てはまりますので、7月に決定した標準報酬月額は、320,000円。標準報酬月額表320,000円の欄でチェックすると、「健康保険料:16,096円」「厚生年金:27,392円」そして、年齢が35歳ですので介護保険料はかかりません。
雇用保険料は、一般の事業で5/1000で保険料を計算しますので、「310,000円×5/1,000=1,550円」結果、控除される社会保険料の合計金額は、16,096+27,392+1,550=45,038円となります。
初任給から引かれる社会保険料は「雇用保険」のみ
さて、前置きが長くなってしまいましたが、結局のところ初任給から引かれる社会保険料って何か違うのでしょうか。
先に言っちゃうと、答えは「Yes」です。初任給から引かれる社会保険料は「雇用保険」のみになります。では、健康保険料と厚生年金はどのような仕組みで引かれるようになるのでしょうか?
健康保険と厚生年金は初任給ではなく翌月に天引き
4月分の健康保険と厚生年金は5月の給与から天引きされます。上記の具体例からもわかるように、社会保険料の中で雇用保険は比重が軽いです。
健康保険と厚生年金が大半を占めるため、初任給に比べて5月の手取り額はかなり減ってしまうでしょう。その時になってショックを受けないよう、心しておいてください。あらかじめ社会保険料の仕組みを、理解しておきましょうね。
9月に更新されるので保険料が変更する可能性アリ
先にも述べたとおり、健康保険と厚生年金は4月、5月、6月の報酬月額の平均で算定されます。この金額が、その月の9月から使用されることになります。
そのため、9月になると社会保険料は更新され、初任給の頃から変更になる可能性があります。
初任給から引かれる社会保険料は雇用保険のみ!健康保険と厚生年金は翌月から
社会保険料について細かく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。「初任給の詳しい内容なんて興味がない」と思っていた人も、仕組みが分かると面白くなってきたのではないでしょうか?
また初任給と翌月の給与とで、社会保険料の仕組みに大きな違いがあることも理解していただけたと思います。これでいきなり給与が減っていても、落ち着いて確認することができますね。
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