伝統工芸の後継者育成を行う学校について
伝統工芸は衰退の危機?
どこの地域にも必ずと言って良いほどある伝統工芸ですが、後継者が少なくなり、その伝承が難しくなってきています。伝統工芸では後継者育成が最大の課題になっています。なぜ伝統工芸が衰退の危機に陥ったのでしょうか。
売り上げはピーク時に比べて4分の1まで減少
伝統工芸は、バブルの影響を受けてから大きく減少しました。ピーク時の1984年に比べて、平成21年度の生産額は、約1,281億円(前年比約13%減)となり、昭和50年代のピーク時に比べると約4分の1に減少しています((財)伝統的工芸品産業振興協会調べ)。伝統工芸が衰退していると言わざるを得ない状況です。
後継者も少なくなってきている
ある調査によると、伝統工芸品産業界の従事者数は1980年(昭和55年)の26万1千人から2009年(平成21年)の7万9千人に減少しました。((財)伝統的工芸品産業振興協会調べ)。その中で、30歳未満の従事者の比率は28.6%から6.1%に減少と、数字から見て分かるように後継者も少なくなってきています。
後継者育成の取り組みとは?
伝統工芸は、後継者不足によりこのまま衰退して無くなってしまうのでしょうか?後継者育成問題の国の取り組みをみていきます。はたして伝統工芸の後継者育成にどんな対策を講じているのでしょうか。
国は支援策を法律で制定
国の支援策は、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(「伝産法」)に基づいて、様々な支援策を用意しています。伝産法に基づく各種計画の承認を受けた事業者は、以下の事業に必要な経費の補助を受けることができます。
●後継者育成事業:後継者育成研修など
●需要開拓等事業:需要開拓など
●地域人材育成・交流支援事業:人材育成、消費者との交流の推進など
●地域活性化事業:活性化計画、連携活性化計画に基づく、活性化事業および連携活性化事業
●産地プロデューサー事業:産地プロデューサーが産地に入り込んで、新商品開発・販路開拓などに関わる事業
伝統工芸後継者を育成する学校
後継者不足と言われている伝統工芸ですが、手をこまねいているばかりではありません。国や地域と連携して後継者育成の学校を実施などしています。最後に伝統工芸の後継者を育成する学校やスクールをみていきましょう。
京都伝統工芸大学校
伝統工芸後継者を育成する学校の一つ目は「京都伝統工芸大学校」です。
1995年に全国唯一の伝統工芸技術の後継者育成を目的として開校しました。現在は2コース・11専攻が設置されています。修業年限は2~4年から選択できるのが特徴です。陶芸や仏像小国、和紙工芸など幅広い伝統工芸の後継者育成が可能な学校です。
奈良伝統工芸後継者育成研修
学校ではありませんがスクールでも伝統工芸の後継者育成を行っています。奈良県では満35歳未満の方を対象に奈良伝統工芸の後継者の育成・支援をしています。研修期間は3年間で奈良一刀彫や奈良漆器などを学びます。
伝統工芸の後継者育成のための学校は関西を中心に存在
伝統工芸の後継者育成のための学校やスクールは関西を中心に存在します。伝統工芸は国の宝とも言えます。手に職を付けたい人にとっても魅力的と言えるのではないでしょうか。興味のある方は学校またはスクールに通ってみてはいかがでしょうか。
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