「退職金」「慰労金」の違いで注意すべき重要ポイント3つ
退職金と慰労金の違いで注意すべき3つのポイント①:金額が慰労金の方が高い
会社を退職する場合に一般従業員に支払われるのがいわゆる退職金ですが、この退職金には、役員などに支払われる慰労金という名前の退職金も存在しています。
これには、明確に異なった点と問題点があります。この慰労金は、取締役などの会社の役員のみが、受け取ることが出来る特別な退職金で、一般的な退職金よりも、金額が多い場合がほとんどで、役員や取締役の会社への貢献度によって、金額が変わってくると言えます。そういう点ではポイント制の退職金と似ています。
慰労金は会社が勝手に支給できないお金
大きな違いは退職金は、退職金規定に従って支給されます。ですが、慰労金は退職金規定ではなく、商法に基づいて定款に定めている場合か、株主総会の決議で支給が決定されない限り、支給されないお金だと言う点です。つまり慰労金に関しては、会社が勝手に支給できないお金だということです。
退職金と慰労金の違いで注意すぺき3つのポイント②:捉え方次第で慰労金も退職金になる
退職金と慰労金の違いは分かったと思いますが、近年問題となっているのが、役員と一般の業務を兼任している、兼務役員という存在です。この兼務役員は、肩書は役員なのですが、行っている仕事は一般の社員と同じ場合が多いため、慰労金の扱いに対して、大きな問題が出てきてしまいます。
役員が一般業務をしていると退職金扱いになってしまう問題がある
慰労金は株主総会の決議などで、決定しなければ支払いが出来ない訳ですが、仕事が一般社員と同様の内容だった場合、慰労金を退職金規定に従った、退職金として支給できてしまうという捉え方も、可能になってしまい、大きな問題に繋がります。
決議が無くても、退職金として慰労金が支払われてしまうため、本来決議で決定された場合のみ慰労金としてしか受け取れないはずのお金を退職金として、受け取れてしまうわけですから、これに関しては、大きな問題点だと言えるでしょう。
もちろん取締役が、社員と同じ仕事をしていたのであれば、何ら文句は出ないはずですが、職務実態が、はっきりしないのに社員扱いになると、問題になる可能性があると言えます。
違いと問題③:株主総会で否決されれば慰労金は支払われない
退職金の場合は、退職金規定があります。ですから、会社の独断で支給が可能なワケですが、慰労金に関して、株主総会の決議が必要なので、決議が否決されれば役員の場合慰労金が、支払われないと言うことになるわけです。
もちろん、会社へ多大な貢献をしていた場合には、株主総会で決議が否決されることはないはずです。そうでない場合には、慰労金を支払うに値しないと、判断されて否決されるわけですから、慰労金が支給されなくて、当然ということになるといえます。
慰労金を正しく受け取るには役員と一般社員の線引きが重要
しかし兼任役員という曖昧な状態がはびこっているため、慰労金ではなく、退職金として慰労金の支払いが、横行する原因になっていますから、役員は役員、一般職は一般職といった、きちんとした線引きが必要になると言えるでしょう。
退職金と慰労金は金額に大きな違いがあり、兼務していると退職金にされてしまう問題がある
以上が退職金と慰労金の違いで、問題点です。退職金と慰労金は似て非なるものですから、その点をきちんと認識する必要が役員にも社員にもあると言えます。
近年では、社員の退職金に特別報酬という名目の慰労金を上乗せする会社もありますが、それはあくまで、退職金の一部であって、役員退職慰労金とは異なります。
そのため慰労金とは何なのか、どういった場合に支給されるのかを、きちんと把握しておかないと、慰労金を退職金で支払うといった不正が行われることいった問題があります。特に、社員兼役員がいる会社は、その仕組みをもう一度見直し役員と一般社員を区別する必要があるのではないでしょうか。
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