在宅勤務制度を利用して正社員として働く5つのメリットとデメリット【パナソニック・マイクロソフト・トヨタ】
在宅勤務とはどんな働き方?
情報化が進んだ現代社会では、働き方の根底から覆されようとしています。その一環として、在宅勤務があげられるでしょう。在宅勤務とは、職場で働くのではなく、自宅で働くことです。
会社に出勤しない新しい働き方
これまでは仕事というと、会社で働くものというイメージしかありませんでした。営業職以外は全員オフィスに出勤し、机に座って決められた時間内で働く。このやり方を変えようという動きこそ、在宅勤務が拡大している背景になっています。自宅にて自由度の高い働き方をする、新しい価値観による勤務形態なのです。
テレワークともよばれる
在宅勤務は別名テレワークともよばれています。「tele=離れた場所」「work=働く」という2つの言葉を合わせた造語です。在宅勤務者はテレワーカーと称されることもあります。Microsoft社などでは、このテレワークという使い方が一般的です。
在宅勤務のメリット5選
それでは、新しい働き方のカタチである在宅勤務のメリットを見ていきましょう。主に、次の5つです。
通勤時間をなくすことができる
会社勤めをしている人の宿命ともいえる、通勤時間。とくに、都心の職場に通っている人は、毎朝つらい満員電車にすし詰めにされています。通勤に片道1時間以上かけている人にとっては、人生の貴重な時間の無駄でしかありません。これではストレスマッハ、職場に行くのがつらいと思ってしまいますよね。そんな問題を解消できる点は、在宅勤務の最大のメリットといえるでしょう。
家事との両立がしやすい
メリットの2つ目は、家庭と仕事の両立がしやすい点です。働きながらだと、どうしても家事がなおざりにされてしまうもの。一人暮らしでも、共働き家庭でも共通の悩みです。これも、在宅勤務の場合はさらっと解決できます。自宅で作業するため、空いた時間に食器洗いや洗濯を済ませられるのです。
子育てや介護をしながら働ける
家事に付随して、家庭の問題にも取り組みやすい点もあげられます。小さい子供がいると、家を空けられないもの。近年の深刻な保育園不足によって、子供を預けて働きに出ることも難しくなっています。 その点では、在宅勤務は子育てと仕事の両立に最適な勤務形態といえるでしょう。両親の介護など、常に自分が付き添うことで安心感も得られますね。
地方など住む場所を選ばない
メリットの4つ目は、遠隔でも作業ができる点にあります。すなわち、住む場所を選ばないということです。これまでは企業の所在地のある都市部の近くに住む必要性がありました。そのため、家庭の事情などでUターンせざるを得ない場合は、退職しなければならなかったのです。 その問題を解消できる点も、在宅勤務の優れている部分といえますね。
人間関係に苦しまない
世間一般での退職理由の上位にある人間関係。毎日顔を合わせる上司や同僚との関係がよくないと、働く意欲も沸いてきませんよね。その点では、在宅勤務は非常に気楽なもの。WEBカメラによるビデオ通話や、メールのやり取り以外は、会社の人との接点がなくなりますからね。 人間関係にわずらわしさを感じている人にとっても、在宅勤務は理想的な働き方といえそうです。
在宅勤務制度を導入する企業が増加中
在宅勤務の制度を導入する企業が増加中です。その理由は働き方の多用化以外にも、2011年におきた東日本大震災による影響も関係しています。首都圏での交通・通信網が麻痺した場合、業務の遂行が困難になります。そのため、リスクを分散する意味でも、日本各地との遠隔によって業務を行う仕組みが普及していったのです。
IT系を中心に導入が進む
在宅勤務はIT系を中心に普及が進みました。その理由は、インターネットさえつながっていれば、自宅の設備でも業務を行える点にあります。基本的にネット環境の整ったPCさえあれば、プログラミングなどの業務には支障がありませんからね。
普及先は不動産や製造業まで多岐にわたる
そして、IT系だけでなく不動産業やサービス業、製造業にいたるまで、在宅勤務が普及するようになりました。有名どころでは、以下の企業が採用しています。
在宅勤務を導入している企業・業界
- 不動産業界:住友林業など
- サービス業:ベネッセコーポレーション、ヒューマンシステムなど
- 製造業:パナソニック、日立製作所、トヨタ自動車など
- 食品・飲食:日本マクドナルド、ニチレイ、サントリーなど
パナソニックの在宅勤務の事例
それでは、実際に在宅勤務を導入している企業の事例を紹介します。まずは、製造業の大手であるパナソニックから。早くから在宅勤務制度を導入したことによる苦労や、現在の活用実績を見ていきましょう。
在宅勤務制度「e-Work@Home」がある
在宅勤務制度自体は2001年から存在していたパナソニック。しかし、開始初期はPCに不慣れな社員が多く、中々うまくいかなかったそうです。そこで2006年にe-Work推進室が設立され、翌年から本格稼働を始めました。「e-Work@Home」とよばれる在宅勤務制度は、月間の勤務日数の2分の1までの利用という上限があります。しかしながら、限られた時間の利用であっても、利用者の7割以上が生産性の向上を実感しているほどです。
利用者の4分の1が女性
e-Work@Homeの利用者の4分の1は女性です。家庭と仕事の両立という、働く女性の課題を解決する手段としての、在宅勤務が有効活用されていますね。
在宅勤務利用者の声
- 「まとまった時間ができたので、作業効率が上がりました」
- 「コミュニケーション不足が心配でしたが、むしろ出勤時により深くとれるようになりました」
- 「在宅勤務の際は子供の送り迎えなどができて助かっています」
社員のワークライフバランス拡充が目的
パナソニックが在宅勤務を本格的に導入した理由は、効率を重視するものばかりではありません。社員がゆとりをもって働ける環境づくりのためでもあるからです。ワークライフバランス※という、仕事と私生活の両立を高い次元で実現するためにも、在宅勤務は欠かせない働き方になってきています。
ワークライフバランスとは
- 仕事とプライベートを両立させつつ、作業効率を高めていくという考え方です。大企業を中心に投入が進んでいます。
マイクロソフトの在宅勤務の事例
大企業であるマイクロソフトでもワークライフバランスの実現のため、在宅勤務の導入が進んでいます。在宅勤務、テレワークの普及によって働く女性をサポートし、介護や子育ての問題解決に向けて、企業をあげて取り組んでいます。
労働者の充実した生活と生産性の向上も目的
労働者にとって働く選択肢を広げるテレワーク。従業員が活き活きと働くことにより、会社側も恩恵を受けることができます。それは、生産性の向上です。さらに、都合に合わせて長く働ける環境を作ることで離職率を下げ、優秀な人材が成長できる土壌を作り上げることにもつながっていきます。
トヨタ自動車の在宅勤務の事例
入社後数年が経った事務職と技術職が対象で、管理職は除外されるものの働き方の改革が進んでいます。在宅勤務の方向性として、自宅で作業をするほかに、出先から直帰して自宅で残りの作業を行う、なんてことも可能になるようです。
自動車業界では日産が初
トヨタ自動車の属する自動車業界で、最初に在宅勤務を導入した企業は日産自動車です。2006年の時点では育児や介護に限った適用だったものの、2014年までに範囲が拡大されました。 利用者の計97%が生産性が向上した、もしくは変わらないという回答をしています。つまり、在宅勤務の導入によって、状況が悪化することはありえないことが分かったのです。
フリーランスだけでなく正社員の在宅勤務もある
ここまで紹介してきたとおり、大企業を中心に在宅勤務を推進する流れが加速しています。対象も一般の社員まで拡充されつつあり、正社員として在宅で仕事ができる選択肢が当たり前になりつつあるのです。これまではフリーランスや自営業者など、限られた人にしかできなかった在宅勤務。それが一般的になるという点は、日本の長時間労働を見直すよいきっかけになるでしょう。
背景には働き方の多様化がある
正社員でも在宅勤務が可能になった背景として、企業側の考え方が柔軟になった点は見逃せません。ワークライフバランスの考え方が普及した結果、プライベートを重視した働き方が推奨されるようになりました。 とくに女性の場合は、出産や育児などで家庭にとどまって働くことで、公私ともに充実させることができるようになった点は大きいですね。
在宅勤務ガイドラインにも目を通そう
厚生労働省が発表した、在宅勤務ガイドラインについても知っておきましょう。テレワーク普及促進に係る目標を掲げた「テレワーク人口倍増アクションプラン」の実現など、国をあげて働き方の多様性を見直そうとする動きがあることがわかります。
気軽にできるオススメ在宅勤務5選
在宅勤務はなにも、正社員だけの働き方ではありません。フリーランスや副業としての在宅勤務も増えています。近年はクラウドワークスなどのクラウドソーシング※の普及によって、誰もがWEBを利用した在宅業務をこなせるようになっているのです。
クラウドソーシングとは?
- クラウドソーシングとは、クラウドワークスやランサーズなどのサービスを用いて、企業側が必要な作業を個人に委託するものです。不特定多数の人がサイトにある仕事を受注して、納品するという形をとっています。
①データ入力の在宅勤務
正社員として働きながら、在宅勤務する場合でも、もっとも多いと思われるデータ入力などの作業。これはクラウドソーシングでもたくさん見つかる案件です。PCをつかって必要なデータを打ち込んでいく、比較的かんたんにできる作業である点もポイントです。ただし、単価はそこまで高くありません。
②プログラマの在宅勤務
PCを用いた仕事の強みは、データのやり取りさえできれば、どこにいても作業ができる点です。プログラマもそんな仕事内容の1つで、在宅勤務に向いています。正社員として採用される以外にも、フリーランスとして業務委託で働く方法があります。新サービスの立ち上げやスマホアプリの開発などが狙い目の案件です。
③デザインの在宅勤務
WEBサイトやソーシャルゲームのデザインも、在宅勤務の案件が多い仕事です。ディレクターと遠隔でやり取りをするため、それなりのスキルと理解力がなければ務まらない業務ではあるものの、無駄な時間をすべてクリエイティブ方面につぎ込めると考えると、非常に理にかなっていますね。
④内職の在宅勤務
在宅勤務はデジタルなものだけではありません。アクセサリー作りなどの昔ながらの内職もありますよ。物を作成する場合は、その材料を取りに行く際と納品時に直接出向く必要がありますが、それ以外はすべて自宅で作業ができます。
⑤ライターの在宅勤務
文章を書く仕事であるライター。実はとくに必要な資格などなく、誰でも「私、フリーライターです」と名乗ることができます。クラウドソーシングを利用して案件を受注し、期限までに記事を仕上げる仕事内容になっています。単価が安いという難点はあるものの、数をこなしていくことで信用に繋がり、少しずつ値段を上げていくことも可能です。
在宅勤務にはデメリットもある
満員電車から開放され、家で好きな時間に働ける在宅勤務。まるで夢のような働き方に思えますよね。しかし、デメリットともいえる問題点も存在します。それは、以下の3つです。
問題点①作業時間が曖昧になりがち
正社員として働く場合は、PCでのリアルタイムの作業履歴やWEBカメラによって、定められた勤務時間帯に働いているかを見られています。しかし、それらの取り決めがない会社や、フリーランスとして在宅勤務を行う場合、時間の管理が雑になりがちです。「納期までまだ時間があるし、昼からでいいや」という甘い考えは、気が付くと「明日が納期なのに、全然できてないじゃない!」という悪夢に変わりかねません。
問題点②成果が分からないと評価されにくい
在宅勤務でもきちんと仕事の頑張りを評価する仕組みの整った企業ならば、何の問題もありません。しかし、その辺が曖昧な場合は、正当な評価を受けられない可能性があります。納期までに作業を仕上げても、その間の時間で何をしていたのかが不明瞭だからです。
問題点③だらけてしまう
そして、一番の問題点は、周囲の目がなくなることによる自堕落さでしょう。人は周囲の目線を気にする生き物。日本人の場合はとくにその傾向が強いです。しかし、そこから開放された瞬間、すべてが適当でだらだらとした働き方になりかねません。
在宅勤務は大企業を中心に拡大中!メリットは時間の自由でデメリットはだらけること
在宅勤務は通勤時間や毎朝のお化粧など、無駄な時間を削ぎ落した働き方を可能にします。トヨタやマイクロソフトなど、大企業を中心に採用が進んでいるため、将来的には珍しいものではなくなるでしょう。正社員として在宅勤務を希望するならば、それらの企業を目指すといいですよ。 ただし、自制心を持って1人でも働く真面目さと責任感が必要です。楽な方向にばかり走ろうとする人には、向いていないのかもしれません。
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