臨床工学技士の仕事内容と気になる年収
臨床工学技士とは
臨床工学技士という仕事を知っていますか?
比較的新しい職業であり、日本の最先端医療を支えるのに欠かせない仕事です。まずは臨床工学技士について大まかに説明しましょう。
最先端の医療機器を扱うスペシャリスト
臨床工学技士は、最先端の医療機器を扱うスペシャリストです。日本の医療は日々進化しており、高度な医療技術が確立されています。高度な医療技術を支え、病気に苦しむ人にを助けるためには、最先端医療機器の知識や扱う技術を持つ臨床工学技士の存在が必要不可欠なのです。
今後も医療技術は発展を続けるため、臨床工学技士の需要はますます高まるでしょう。
主な勤務先は大学病院や専門性の高いクリニック
臨床工学技士の主な勤務先はあ、大学病院や専門性の高いクリニックです。医療機器を扱う専門職であるため、最先端の医療機器を導入していない小さな病院やクリニックには就職しません。
臨床工学技士としての就職先は限られていますが、専門性を活かした仕事に専念することができるのは魅力的と言えます。責任は重い仕事ではありますが、その分やりがいを持てるでしょう。
メーカーや商社系企業に勤務する人も
大学病院や専門性の高いクリニックに就職する人がほとんどですが、臨床工学技士の中にはメーカーや商社系企業に勤務する人もいます。医療機器の専門知識を活かし、メンテナンスや管理業務などの仕事に携わっているようです。
臨床工学技士が扱う医療機器
臨床工学技士が扱う医療機器の一例を紹介しましょう。医療技術の発展にともない、今後も臨床工学技士が扱う医療機器は増えていくと予想されます。
■人工心肺装置
一時的に心臓を止める際に使用する機器。
■人工透析装置
血液中の老廃物や余分な水分を取り除く装置。
■人工呼吸器
呼吸が停止した患者や自力での呼吸が困難な患者に使用する機器。
手術室や集中治療室で機器の操作を行う機会も多いため、臨床工学技士は非常に責任の重い仕事なのです。
臨床工学技士の仕事内容
臨床工学技士の主な仕事内容について説明します。臨床工学技士の仕事は、患者の命に関わるものばかりで責任は重大です。専門知識が豊富、機器の扱いが得意というだけでなく、慎重さも求められます。
臨床工学技士の仕事内容について具体的に説明しましょう。
血液浄化療法業務
腎臓が機能しなくなった、機能が著しく低下した患者に対して行われるのが血液浄化療法です。この治療では体内に溜まった老廃物や余分な水分などを取り除きます。
血液透析療法や血液濾過療法、血液吸着法、血漿交換療法などがあります。
高気圧酸素療法業務
高気圧酸素療法とは、高気圧治療装置を使って酸素を吸入し、血液中の酸素量を増やす治療法です。この治療では、体内組織の低酸素状態の改善、傷の治りの促進、減菌作用、放射線治療の効果が向上、減圧症による体内窒素ガス排泄の促進などの効果があります。
呼吸療法業務
呼吸療法は、臨床工学技士の仕事の中でも比較的新しい分野です。ICUでの呼吸器管理や、神経や筋肉に疾患のある患者の呼吸器管理を行います。
手術中の機器の操作・使用前の点検
臨床工学技士の仕事は手術室にもあります。手術中に必要な機器の操作や、使用前に故障や誤作動がないかなどの点検を行います。手術が安全に行われるためには欠かせない仕事です。
生命維持管理装置の操作や点検
ICU(集中治療室)での臨床工学技士の仕事は、人工呼吸器や除細動器などの生命維持管理装置の操作や点検です。これらの装置の操作や点検でミスをすると、患者の命が危うくなります。
医療機器の管理
病院内で使用される医療機器は、臨床工学技士が点検し、いつでも使用できる状態を維持する必要があります。臨床工学技士は定期点検や終業点検を行い、機器を管理するのも仕事です。
臨床工学技士の年収
気になるのは、臨床工学技士の年収ですよね。「給料が低くてもやりがいのある仕事がしたい」と考える人も多いですが、生活のためもお金は欠かせないものです。臨床工学技士を目指す人は、初任給や年収事情などについてしっかり調べておきましょう。
年収は430~600万円がもっとも多い
臨床工学技士の年収は、430万円~600万円の人がもっとも多いとされています。
年齢別の平均年収を見てみると、20代の平均年収は約340万円、30代は約450万円、40代は約500万円、50代が約560万円、60代が約800万円が相場となります。
初任給は病院で約18万円・クリニックで約19万円
臨床工学技士の初任給は、病院勤務で約18万円、クリニック勤務で約19万円が相場となっています。1年目の平均年収は300万円前後ですが、給与・年収は経験や年齢を積むほど上がっていきます。臨床工学技士としての経験や能力によっても年収が変わってきます。
学歴によって初任給は1万円ほど違う
勤務先だけでなく、学歴によって初任給に5,000円~1万円ほどの差があります。
3年制の臨床工学技士の養成機関を卒業した人よりも、4年制の大学で臨床工学技士になった人の初任給の方が5,000円~1万円ほど高くなります。
昇給には差がないようですが、待遇の良い大きな病院への就職には大卒者の方が有利になる傾向が見られます。
20代の臨床工学技士の年収は勤務先によって大きく異なる
20代の臨床工学技士の年収は勤務先によって大きく異なります。
大きな病院に就職した場合、年収は450万円前後になります。大きな病院は夜勤もあり、比較的激務であると言われています。
一方でクリニックに就職した場合の年収の相場は300万円前後。透析クリニックに就職すると、臨床工学技士の中でも年収は比較的高めになるようです。
大病院の技士長クラスになると年収800万円を超える
大病院の技士長クラスになると、年収は800万円を超えます。主任や技師長まで昇進すると基本給が上がって役職手当も支給されるようになるため、年収はぐっと上がるのです。臨床工学技士で年収800万円以上を稼ぐのは難しいと言われています。
勤務体系によって年収にも差が出る
勤務体系によっても年収に差が出ます。たとえば、夜勤のある病院に勤務し、月に何回かの夜勤をこなすと手当が支給されますよね。夜勤手当が入る分、夜勤のない人よりも給与は多いでしょう。残業や休日出勤の有無なども年収に影響します。
年収を調べる時は、総額や手取りだけでなく、どのような手当が支給されているのかまでチェックしましょう。
医療機器メーカーの方が年収が高い
臨床工学技士の中には、メーカーや商業系企業に就職する人もいると上述しましたよね。実は医療機器メーカーに勤務する臨床工学技士の年収の方が、医療機関に勤務する臨床工学技士よりも高額になる傾向が見られます。
医療機器メーカーに勤務する臨床工学技士の平均年収は約580万円であり、医療機関で働く臨床工学技士の平均年収である約430万円を大きく上回ります。
高額な年収を得たいなら、医療機器メーカーへの就職も検討するといいでしょう。
臨床工学技士になるには
臨床工学技士になる方法を具体的に説明しましょう。臨床工学技士は国家資格であり、需要も高まっているおすすめの職業です。
臨床工学技士養成課程のある大学か専門学校で学ぶ
臨床工学技士になるには、まず臨床工学技士養成課程のある大学か専門学校で学ぶ必要があります。専門学校の場合は3年間、大学の場合は4年間で臨床工学技士になるための勉強をします。指定科目を修了し、臨床工学技士の国家試験の受験資格を得ることができます。
臨床検査技師、診療放射線技師、看護師の養成学校のどれかを卒業している人は、臨床工学技士の専門学校に1年間通えば受験資格が得られます。
臨床工学技士の国家試験に合格する
受験資格を得て国家試験に合格すれば、臨床工学技士の資格が得られます。受験資格を得るためには学校に通う必要があり、時間とお金がかかることは覚えてきましょう。
臨床工学技士の需要は高まっていますが、供給が追いついていない状態であるため、就職先は見つけやすいと言えます。
試験の合格率は約80%前後
臨床工学技士の国家試験の合格率は、約80%前後です。真面目に学校に通って勉強し、国家試験対策を行っていれば合格できるようです。けっして難しい試験ではないので、臨床工学技士は比較的取得しやすく、就職先にも困らない資格だと言えますね。
臨床工学技士のキャリアアップ
臨床工学技士はどのようなキャリアアップの道があるのでしょうか。最後に、臨床工学技士のキャリアアップについてお教えしましょう。
より多くの専門知識を身につけていくことが大切
臨床工学技士としてキャリアアップするためには、より多くの専門知識を身につけるのが重要です。臨床工学技士は専門職であるため、専門性の高い知識や技術を身につけることで、キャリアアップや出世の道が開けます。
万が一、臨床工学技士の数が需要を上回って就職が困難になったとしても、専門性の高い知識や技術があれば、職には困らないでしょう。
病院以外の転職先も考えておく
医療機器メーカーや商業系企業など、臨床工学技士を求める会社は多くあります。
医療機器の販売や製造においては、機器に関する豊富な専門知識が不可欠。そのため、医療機器の専門知識を持つ臨床工学技士の需要があるのです。
上述したように、医療機器メーカーの方が年収は高くなる傾向が強く、医療現場とは違った経験を積むことができるため、キャリアアップのための転職先としておすすめです。
臨床工学技士の年収は430万円~600万円ほど!最先端で専門的な知識が必須
臨床工学技士の年収は430万円~600万円ほどあり、経験や年齢を重ねるほど給料は上がっていきます。最先端の医療機器を扱うため、専門的な知識や技術は必須となります。就職後も日々進化する医療機器に対応できるように、あるいはキャリアアップのためにも勉強は欠かせないいでしょう。
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