「鑑みる」という言葉の意味と正しい使い方

2016年12月12日2020年3月31日

「鑑みる」とは前例に沿って考える場合に用いる言葉

「鑑みる」は「かんがみる」と読みます。意味は「先例や規範に照らし合わせる事。または、他を参考にして考える事」という意味です。前例がまずあり、それにそって考えてみる場合に用いる言葉です。この「鑑」という漢字は、「かがみ」と読みます。自分を映す鏡というよりも、映して見るための規範、模範、手本などの意味を持った使い方がされる言葉です。

同じ意味の使い方ができる言葉は「見込む」「斟酌」

「鑑みる」と同じ意味の使い方がされる言葉がいくつか存在します。「見込む」は「元と照らし合わせて、予見や予測をする」となり、同じ意味の使い方ができるのです。もっと難しい言葉では「斟酌」があり、「しんしゃく」と読みます。相手の心情や状態をくみとる状態に多く、「反省しているのでお仕置きには斟酌を加えた」という使い方がされる言葉です。

「鑑みる」の使い方①:物品購入稟議書

ここでは、ビジネスシーンにおいて「鑑みる」を用いたビジネス文の使い方を取り上げていきます。例えば購入稟議書で、物品を購入するに至った経緯を書き記す場合、以下のようになります。

「現状の取引先増加を鑑みると、事務所の旧型パソコン一台だけでは通信作業が追い付かず、業務が滞っている状態にあります。パソコンの二台体制であれば作業能率が上がり、月の残業時間を減らす事が可能となります。」

現在どういう状態なのかを前置きにし、考察した結果、こういった改善が見られると具体的につなぐために使用できます。

「鑑みる」の使い方②:クレーム対応の報告書

次に、クレーム対応について報告書を提出する時に使う「鑑みる」の例文です。

「先月のクレームデータ総数は、夜間営業時の接客態度に対するクレーム数が増加しました。夜間はアルバイト店員や従業員人数が少ない事に鑑みると、夜間に正社員を最低1人は常駐させる必要があります。そこで現在のシフトを改正し、正社員が交代で夜間業務に当たるよう対処致します。」

鑑みて終わりではなく、鑑みた後は改善策を打ち出しておきましょう。

「鑑みる」を会話に用いると微妙なニュアンスを伝えられる

「鑑みる」を会話で使えるようになると、微妙なニュアンスを伝える事が出来ます。例えば平行線の論議が発生した場合は、このような使い方をしましょう。

「Bさんは自分の意見を通し、Aさんの評論を無視しているので議題が平行線だ。AさんもBさんも、互いの評論を鑑みることで更に良い議論が出来る。」

鑑みる、という行動は誰にでも出来ます。脱線しやすい論議では一旦落ち着く、という場面で使用できます。

「鑑みる」は過去に存在するものに対して使用する

「鑑みる」を「単に考えてみる」という様に、間違った使い方をしている場合があります。例えば、以下のような使い方です。

「去年の売上高よりも今年の売上高が下がっており、物価高騰した材料購入の仕入れ先を鑑みていた」

「考えてみる」は対象が幾つもあります。「鑑みる」の対象は必ず、「前例」や「規範」といったすでに過去に存在するものに対して使用されるのです。

「鑑みる」は先例や規範に照らし合わせるという意味があるため過去に存在するものに対した使い方が正しい

いかがでしたか。「鑑みる」の意味と使い方をみてきました。「先例や規範に照らし合わせる事」または、「他を参考にして考える事」という意味があります。「鑑みる」をはじめとして、様々な日本語が間違った意味で捉えられ、誤用され続けています。原因の一つに、パソコンや携帯で一発変換される文節や、辞書の使用低下が関わっているといえるでしょう。誤用は混乱を招き、ビジネスシーンでは大きな損失となる可能性があります。今一度、使用する言葉の本来の意味、使い方を調べて正しい使用方法を知り、それぞれが知識として蓄えたいものです。